「孤独を生ききる」 瀬戸内寂聴
幸か不幸か「孤独」と言うことをあまり考えずに来てしまいました。
それが最近、思い合う心はあるのにお互いを理解できない、
分かり合えない孤独、そんな想いをもてあましていました。
書店で「孤独」の文字に引きつけられました。
読者を著者の庵にそっと迎え入れた・・・そんな状況設定で、
著者は優しく語りかけてくれます。
「人間は孤独で寂しいのが当たり前。
自分が寂しいから人の寂しさもわかる。
自分がこんなに寂しいんだから、あの人もきっと人恋しいんだろうと思いやったときに、
相手に対して同情と共感が生まれ、理解が成り立ち、愛が生まれるのです。」
「本当に自分が孤独だと感じたことがない人は、真に人を愛せない。」
孤独を身にまとった皮のように当たり前のものとして、
もう一度自分の心を見つめ直してみようと思いました。
「孤独」一見、淋しい辛い言葉のようですが、
凛とした言葉の陰に著者の優しく暖かい心が感じられました。
この本を読んで、私も「孤独」といい友達づきあいができるような気がしてきました。