「リセット」 北村薫
北村薫の時の3部作。
1995年「スキップ」97年「ターン」で彼の大ファンになりました。
最初はあまりにも優しい文体で女性かと思ったのですが、
男性と知ってからは、お顔も知りませんが「この人と結婚したい・・・」と思ったくらい。σ(^^)
ところが、待ちに待った3作目「リセット」2001年に読み始めたのに、
なかなか読み終えることができませんでした。
あまりにも文体が穏やかで美しくゆったりと流れるので・・・眠ってしまうのです。
昭和20年、30年代後半、50年代と時が移り、
少年少女だった主人公が輪廻転生しようやく結ばれるというお話です。
と、簡単に語ってしまうとなんだか俗っぽいお話のようですが、
昭和という激動の時代を的確に描き、
時代に翻弄されながらも心の奥底で温めていた熱い思いが美しく語られ、
「時の3部作」の最後にふさわしい壮大な物語となっています。
第1部は昭和初期の女学生の語りです。
その語り口の優美さに心地よい眠りに誘われなければ、
第2部第3部はページをめくる速さに加速度がつくこととと思います。
一番好きな「スキップ」の甘酸っぱくさわやかな読後感に対して、
蕩々と流れる大河や果てしない宇宙が瞼に浮かぶような、
雄大でかつ静かなイメージの作品でした。