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犬・本・料理大好き!節約しながらエンジョイシニアライフ♪

2023年9月に読んだ本

8月の「木挽町のあだ討ち」に引き続き永井紗耶子の「大奥づとめ」はなかなかよかった。追い続けたい作家が増えた。そして、それ以上の衝撃はテッド・チャンSF小説なのだが、そのくくりでは収まらないような、人間の心情を深く描いた短編ばかりだ。この作家も追いたいが、副業作家で20年近くの間に2冊しか出していない。絵本のjunaida、加古里子もなかなか素晴らしい。そして、感動の木内昇「かたばみ」、すっかり脳内でキャスティングしてしまい、ああ!この映画が撮りたい!

 

読んだ本の数:17

大名倒産 上大名倒産 上感想
平和な世の中が260年続き、武士の暮らしも楽ではなかったのだろう。なんだか人柄のよくない先代の後を継いだ若殿様小四郎。異母兄弟や育ての父とのほのぼのしたエピソードも交えながら、ノリのよい大御番頭や貧乏神・寿老人まで現れ、さて、後半はどうなっていくのやら。
読了日:09月02日 著者:浅田 次郎


大名倒産 下大名倒産 下感想
貧乏神・死神から七福神まで勢揃い!浅田次郎さん自身が興に乗って楽しまれているなと想像した。しかし家臣たちのみならず、商人や豪農の一族まで誇りを持ち、国を愛する思いにはしばしば胸が熱くなった。中でも小四郎の育ての親間垣作兵衛、水売りに戻った比留間伝蔵のカッコいいこと!ちょい役ではあったがドクター薬師如来もなかなか。新次郎・初夫婦、作兵衛・なつ夫婦の末長い幸せを祈らずにいられない。小四郎はよき友、よき家臣を持って本当によかった。祝着至極!重畳なり!
読了日:09月03日 著者:浅田 次郎


にょにょにょっ記にょにょにょっ記感想
以前、文庫本で「にょにょにょっ記」を読んだ。あまりのおもしろさにその前のシリーズ2冊もすぐに読み、おもしろさとしては「にょっ記〈にょにょっ記〈にょにょにょっ記」だと思った。「すごくおもしろから!」と知人に3冊ともあげてしまい、再読したくなった今、「返して」とは言いにくい。ということで、今度は単行本を買って読んだ。やはりべらぼうにおもしろい!日頃の多少のヘコミなどブワッと忘れてしまう。さぁ、どうしよう?にょっ記・にょにょっ記の単行本も買うべきか?ともかく、今あるにょにょにょっ記は間違いなく誰にも譲らない!
読了日:09月04日 著者:穂村 弘,フジモト マサル


やっぱりおおかみ (こどものとも傑作集)やっぱりおおかみ (こどものとも傑作集)感想
ヨシタケシンスケさんの「もりあがれ!タイダ~ン」で興味を持った絵本。1973年発行だが、50年前とは思えないモダンな絵で海外の絵本かと思った。ひとりぼっちのオオカミが、ウサギ・ヤギ・ブタ・シカ・ウシなど群れになっている動物を羨ましく思いながら、ひとりでもいい、オオカミがいいという気持ちを「け」の一言にこめる。子供よりおとなの心に響く絵本だと思う。「私は私!け!」
読了日:09月05日 著者:佐々木 マキ


迷子の魂迷子の魂感想
現代のおとな向けの絵本。忙しすぎて魂のスピードが追いつかないという内容にミヒャエル・エンデの「モモ」を連想し、古いノートのような装丁にヨシタケシンスケ又吉直樹両氏の「その本は」が目に浮かんだ。確かに世界は忙しすぎ・多すぎ・速すぎ・うるさすぎ、そしてなにより情報過多なように思える。コロナ禍でそれらに気づきはじめたような気もする。この先、どう進むか、世界は。そして私は。
読了日:09月05日 著者:オルガ トカルチュク


たいふうがくるたいふうがくる感想
家族で海に行く予定の前日に台風が来て、「ぼく」はがっかりしながら眠りにつく。そして、大きなプロペラで台風を吹き飛ばす夢を見る。モノクロで描かれているのに光や色彩が感じられるような豊かな絵。最後に、開いたカーテンの向こうに台風一過の本当に青い空が広がる。本の中から爽やかな風に吹かれた気がした。台風直後の海は危険だけれど、来週は行けるよ、ぼく!
読了日:09月05日 著者:みやこし あきこ


街どろぼう (福音館の単行本)街どろぼう (福音館の単行本)感想
なんと美しい本!特に夜、巨人が家々をかかえて歩くページ。その青のトーンがなんとも言えない。ずっと見つめていたい。孤独な巨人が町の一軒の家を盗んだことから、その親戚友達お店・・とうとう街中を盗んでしまった。しかし巨人の淋しさは癒されず・・。最後はハッピーエンドでよかった。距離や人数ではなく、寄り添う心が大切なのだなぁ。「もりあがれタイダ~ン」で知ったjunaidaの作品をもっと見てみたい。
読了日:09月07日 著者:junaida


大奥づとめ: よろずおつとめ申し候 (新潮文庫 な 107-1)大奥づとめ: よろずおつとめ申し候 (新潮文庫 な 107-1)感想
なんとも清々しいお話だった!「木挽町のあだ討ち」で知った永井紗耶子さん、本作でもすっかり魅了された。江戸版キャリアウーマンの大奥づとめの女性たちだが、皆おおらかではつらつとしている。妬んだり誰かを蹴落とそうとするドロドロした部分がなく、「お清」として仕事に精進する様は別の意味で「清い」。6つの話の登場人物がどこかで繋がっているのもうれしい。「さぁ!働くぞ!」読後、そんな気分で満たされた。
読了日:09月08日 著者:永井 紗耶子


あしたのことばあしたのことば感想
ことばをテーマにした8編の短編集。児童書と呼ぶには惜しいほど、おとなの心にも深く染みる話ばかりだった。1編毎に装丁の画家が異なり、そのどれもが内容にふさわしく、感動をいっそう深めていることがうれしい。言ってしまった取り返したいようなことば、言いたかったのに言えなかったことば、無理して言ってみたことば、そして「こころがぐわんとうきあがる」ような短いことば「またあした」。どの話もいいなぁと感動しながら、これから口にすることばを大切にしようと思った。
読了日:09月09日 著者:森 絵都


おとなになることおとなになること感想
時にシュールな毒も交えながらも、かわいくておもしろい本だった。残念なのは文字も絵も小さくて読みにくかったこと。1ページひとつの絵くらいで楽しみたかった。おとなになることの第一歩が「子宮からの出発」には笑った。「(裸で引っ張り出される)屈辱・見つめられながらの入浴・・いらいらするあかちゃんことば」と続き、「生き物とのつきあい方」「してはいけないこと」「やらずにそだつべきだと、かんがえられていること」と赤ちゃんが学ぶべきことは盛りだくさんで忙しい。1才の孫を思いながら読んだ。私もこうして育ってきたのかな?
読了日:09月09日 著者:サラ ミッダ,サラ ミッダ


怪物園 (福音館の単行本)怪物園 (福音館の単行本)感想
「街どろぼう」と同様に、夜の色彩がなんともいえない。怪物の色、建物の色、独特の世界に引き込まれる。怪物が行進しているから外に出られず、想像を楽しむ子供たち。嵐や、コロナなどの病、はてはナチの時代のアンネまで思い浮かべるのは深読み過ぎか。「オーウーチーハーカーイーブーツーエーンー」という怪物たちの答えがかわいい。表紙の、怪物たちの中に交ざって行進する子供たちも楽しげだ。
読了日:09月14日 著者:junaida


息吹息吹感想
難しい言葉も多く完全に理解したかは疑わしいが、それぞれ異なる深い内容で驚いた。アラビアンナイトを思わせるタイムワープの話では、心に変化はあっても事実は変わらない。AIを育てる話では、親子のような情愛が湧き事業との平衡で悩む。興味深かったのは、全ての事実を記録しいつでも目の前に再生できる技術。言い争いや思い違いは減るかもしれないが、逆にありがたくない。いい意味で、捏造された美しい思い出があってもいい気がする。パラレルワールドの自分と話してみたい気もした。感想をまとめきれないが、類い稀な作家と出会えた。
読了日:09月15日 著者:テッド・チャン


ぼくたちが越してきた日からそいつはそこにいたぼくたちが越してきた日からそいつはそこにいた感想
「もりあがれ!タイダ~ン」で紹介されていたエドワード・ゴーリー。唯一、この1冊だけ図書館にあったが文は他の作家のもの。タイトル通り、越してきたときには庭にいた大きなむく犬。幼い弟が色々トライするが、犬は乗ってこず、ただ庭にたたずんでいる。主役はこちらかと思うほど、男の子の様々な試みが子供らしくかわいい。最後まで犬の謎は解けない。この家の持ち主だった今は亡き主人を待っている・・勝手に想像した。淋しいが優しいタッチの絵だった。
読了日:09月16日 著者:ローダ レヴィーン


言語の本質-ことばはどう生まれ、進化したか (中公新書 2756)言語の本質-ことばはどう生まれ、進化したか (中公新書 2756)感想
「おもしろい本」という評判が高く、「言葉」にも関心があり、なにより1才になった孫がどのように言葉を身に付けていくのか知りたく、興味深く読み始めた。丸みや柔らかさを連想させる音、鋭さや強さを連想させる音、大きさ小ささを感じさせる音があること、濁点が着く音は強さ激しさを感じさせるなどは、なるほどと思った。言語を身に付ける最初はオノマトペからというのもよくわかった。しかし、全体としては、あまり知識造詣のない私には難しく、途中からさっと飛ばしながら読んでしまった。
読了日:09月19日 著者:今井 むつみ,秋田 喜美


からすのパンやさん (かこさとしおはなしのほん 7)からすのパンやさん (かこさとしおはなしのほん 7)感想
ヨシタケシンスケさんが感銘を受けたという、パンがこれでもかとたくさん並んだページは、ひとつひとつのパンが本当に楽しい。作者があとがきで述べるように、一羽一羽のからすの表情も豊かだ。お人形さんをひもで背中にくくりつけたからすの女の子や、白い紙袋にパンを入れ、口を畳んだやり方など、なんとも昭和が懐かしい。かこさとしさんは1926年生まれ。100年近く前に生まれた方なのかとあらためて感慨深かった。
読了日:09月19日 著者:加古 里子


地球 (福音館の科学シリーズ)地球 (福音館の科学シリーズ)感想
地球の表面からだんだん奥深くへ、あらゆる動植物から、人間の暮しに関するものまで、とても丁寧に描かれている。全てのものに実際の長さ大きさや、地表面からの深さが記されているのも興味深い。そして、説明の文章がわかりやすく、また温かい。図書館で借りた本だが、手元に置いてじっくり楽しみたい本だ。孫がこれからはじめて出会うものを調べるのにも最適の本と思い購入するつもりだ。
読了日:09月19日 著者:加古 里子


かたばみかたばみ感想
槍投げの選手で体格がよく、「男女」と言われた悌子が、思いを寄せていた幼馴染みの忘れ形見の母になる。戦争中そして戦後の小学校・家庭・子供たち・大人たち、皆戸惑いながら前へ進んでいく。誰もが傷つき、誰もが一生懸命だ。まるで1本の映画を見るように胸が震えるよい作品だった。
読了日:09月26日 著者:木内 昇

      私のキャスティング(^_^)

       悌子・江口のりこ  権蔵・滝藤賢一

       朝子・小池栄子   茂樹・佐藤隆太

       ケイ・もたいまさこ 富枝・風吹ジュン

       六助・六平直政   吉川・笹野高史

       清一・鈴木亮平