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2023年3月に読んだ本


読んだ本の数:8


空をこえて七星のかなた空をこえて七星のかなた
何人もの登場人物の星にまつわるお話。それがやがて皆、一人のキラキラした女性へと繋がっていく。夢を諦めなかった人々の大団円はこちらまで笑顔になってしまう。最後にここまで全員を関連付けてくれるのは「嬉しい」が勝るが、もう少し読者の想像に任せてくれてもよかったかな。しかし、とても楽しく心が高揚するよいお話だった。「孤舟よ星の海を征け」はこれだけで長編で読んでみたいようだった。
読了日:03月03日 著者:加納 朋子


鯨オーケストラ鯨オーケストラ
「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」の続編。もしや行方不明になったアキヤマ君か?と思われるソガ君の登場から始まり、サユリさん、ミユキさん、太郎君・・懐かしい顔ぶれでストーリーが緩やかに進んでいく。小説を読みながら、音楽の音色が聴こえ、絵画の色彩が目に浮かぶようだ。作中の映画のシーン「生きている間に触れ合わなかったものは、その人の天国に存在しない」という話が印象的。少しでも興味をもったものには触れておかなくては。カバー下もう1枚のカバーに圧倒される。まさに「感電」!クラフト・エヴィング商會からのプレゼントか。
読了日:03月07日 著者:吉田 篤弘


螢川・泥の河 (新潮文庫)螢川・泥の河
昭和30年の大阪、37年の富山を舞台にした少年とその家族の物語。あっけないような人の死や、脱することのできない貧しさ、これは戦後の空気がまだ色濃く残る日本のあちこちで見られた風景ではないだろうか。死や貧しさを身近で目にした少年たちの経験は、精神の成長に大きくつながっているように思える。「螢川」で、夫を奪われた前妻が、原因となった後妻の子竜夫を愛しく思い、後妻の千代が前妻春枝にまた会いたいと思うシーン、亡き夫に対する女性たちの愛情の深さを感じた。宮本輝さんの情景や心情の豊かな表現には改めて感服した。
読了日:03月09日 著者:宮本 輝


錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)錦繍
10年前、思わぬ事件に巻き込まれ別れた夫婦の突然の再会。その後の往復書簡でふたりの過去と心情が明らかになっていく。もし、これが手紙ではなく面と向かった話し合いでは、また違った結末、たぶん悪い方向に向かったのではないかと思う。手紙に綴ることでふたりは自分自身と向き合い、歩み出していく道が見つかったのではないか。宮本輝さんの豊かな心理描写に惚れ惚れしながら、想いを文字にする意味の大きさを思う。こうして読書感想を綴ることもしかり。さらに宮本輝さんの作品に触れたくなった。
読了日:03月13日 著者:宮本 輝


超短編! 大どんでん返し (小学館文庫 ん 2-1)超短編! 大どんでん返し
サッと読めてしまう短編集。1話目「なんて素敵な握手会」には「あらっ!」と思える楽しいどんでん返しがあったので2話目からも期待して読んだ。「白木の箱」「トワイライト」などはオチが読めるもののおもしろかった。しかし、読解力が足りないのかわかりにくいもの、ホラーじみたものもあり・・。再読したらわかるのか。
読了日:03月17日 著者: 


本売る日々本売る日々
江戸時代、本の行商人を主役にした3篇の話。当時の日本人の識字率の高さは知っていたが、専門書を求める人々も多々いたことがうかがえた。初めて読んだ著者青山文平さんの知識や下調べの深さにも驚いた。最終話で初めての開板(出版)に至った松月平助、その熱く漲る闘志と喜びがこちらまで伝わってきた。
読了日:03月21日 著者:青山 文平


東京、はじまる東京、はじまる
前作「家康、江戸を建てる」が大変おもしろかったので、その流れで江戸から東京への変遷が知りたく手にした。日銀や東京駅を設計した建築家辰野金吾を中心に、師であるイギリス人ジョサイア・コンドルや生涯の友でありライバルである曽禰達蔵との物語。登場する東京駅・国会議事堂前・日比谷公園など実際に目にした場所を思い出しながら読み、日銀の各部署の画像を見ながら読み進めるのは興味深かった。傲慢とも思える自信家辰野、最後まで穏やかな友情を続けた曽禰、ふたりの別れの場面は胸を打つ。現存する彼らの作品を見て回りたい。
読了日:03月26日 著者:門井 慶喜


店長がバカすぎて店長がバカすぎて
タイトルがあまり気に入らず、最初の方は「辞めてやる」という愚痴ばかりかと退き気味に読んでいた。しかし、書店の抱える困難や、本に対する入れ込みの深さに、途中から興味が湧きおもしろくなってきた。実際に、近隣でも雑貨店に変身かと見まがう書店が増えて閉口していた。書店員・編集者・出版社の苦労もうかがえると読み進めたが、最後に来てなんだか訳のわからない展開になり、自分がポップを書くとしたらどう書いたものか?自分の中で評価が大きく上下する作品だった。
読了日:03月30日 著者:早見和真