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2022年4月に読んだ本

毎度おなじみの伊坂幸太郎(伊坂幸犬郎も)吉田篤弘も楽しかったですが、門井慶喜「江戸を建てる」にはとてもワクワクしました。そして宇江佐真理「甘露梅」によって江戸時代のもう一つの文化(?)吉原への興味が再燃、図書館で何冊か借りてきたので5月はその方向の読書が進みそうです。辛いニュースが多い中、本の世界でしばし気分が変えられそうです。

 

読んだ本の数:10

推し、燃ゆ推し、燃ゆ
図書館でほぼ1年待ってやっと読むことができた。「推し」を持っていた経験があるので、その部分はすっぽりとよくわかる。「推し」の存在が生きる糧、エネルギーの源となることはあるとは思う。あかりの生きにくさの部分で共感することができなかったが、う~ん・・後の言葉が続かない。もやっとした読後感、綿棒を拾い集めるところからあかりが遥かな「明かり」に向かってくれることを願うばかり。最近、「生きにくい人」を描いた小説がやけに多い気がするのは私だけなのか。芥川賞受賞作はもう読まないと決めていたのに、読んでしまった。
読了日:04月02日 著者:宇佐見りん 

 

不思議の扉 時間がいっぱい (角川文庫)不思議の扉 時間がいっぱい
タイムスリップに関する本が好きなので手にしたが、ちょっと違ったようだ。大好きな星新一さんの「時の渦」は既読だがよかった。「めもあある美術館」はいかにも教科書に載りそうだ。「『ぼく』はこの後どう変わったでしょうか?」とか「あなたならあなた自身のどんな絵を載せたいですか?」とかいう設問と共に。他の作品はあまり好きになれなかった。むしろあとがきにあった既読のケン・グリムウッド「リプレイ」宮部みゆき「蒲生邸事件」、そして未読のコニー・ウィリスのタイムトラベルシリーズなどを読みたくなった。
読了日:04月05日 


物語のあるところ ――月舟町ダイアローグ (ちくまプリマー新書)物語のあるところ ――月舟町ダイアローグ
懐かしい月舟町で懐かしい人々との再会。著者と共に「おもむいて」よかった。デ・ニーロの親方、リツ君、奈々都さん、果物屋さん、帽子屋さん、雨降りの先生、そしてジャンゴ!みんなの一言一言が、吉田さんの作品のあれこれを呼び起こす。ダークな部分があり、「うまくいかないこと」から華々しいハッピーエンドへ・・確かにそんな場面はなかったような。「遠くに見えるかすかな灯り」そうそうそれそれ!物語を読むときの多くは、その灯りを求めている気がする。「個人的」には、デ・ニーロの親方と話してみたいなぁ!
読了日:04月09日 著者:吉田 篤弘


屋根裏のチェリー屋根裏のチェリー
「流星シネマ」の続きがサユリの視点で動き出す。サユリと彼女の心の中にいるチェリーとの会話から、その心の揺れがよくわかる。心地よいのだけれど「あれ?これで終わり?」というお馴染みの終わりでなく、しっかりと心満たされたラスト。青空と風になびく白いテーブルクロスの光景が目に浮かぶ。サユリもミユキもなくしたものと寄り添いながらも、新しい道をしっかり歩み始めた。この感覚、「なにごともなく、晴天」を思い出させる。吉田篤弘さんの作中の女性は皆魅力的だ。
読了日:04月10日 著者:吉田 篤弘


陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)陽気なギャングが地球を回す
とにかくおもしろかった!映画は見ていないが、本だけでも1本の映画を見たように、音も映像も4人のギャングたちの表情まで目に浮かぶ。彼らの吐く名言の数々、章毎の辞書のような言葉の解説、どれも「確かに!」と感心しながらもにやけてしまう。ひとときの現実逃避に、伊坂作品は絶好のエンターテイメントだと、この本を読んであらためて思った。
読了日:04月14日 著者:伊坂 幸太郎


大河への道 (河出文庫)大河への道
伊能忠敬をどのように落語にするのか楽しみに読んだ。市役所の職員が大河ドラマを狙う、という設定もおもしろい。地図完成を待たずに忠敬が亡くなってしまったくだりは息を飲んで読んだが、文字が頭の中では志の輔さんの熱演に変換されていた。映画も見たいし、落語でも聞きたい。そして伊能忠敬はやはりすごい!手元にある伊能図のコピーをあらためて撫でてしまった。余談だが、尽力した高橋景保シーボルト事件による最期を思うと切ない。こんなにいい人だったのに・・。
読了日:04月17日 著者:立川志の輔


Wonderful Story(ワンダフルストーリー) (PHP文芸文庫)Wonderful Story(ワンダフルストーリー)
「伊坂幸犬郎」はじめ、著者の名前を犬に変換、犬の足跡がちりばめられたデザインなど、犬好きには嬉しい企画。やはり伊坂さんの「イヌゲンソーゴ」がおもしろかった。数々の昔話や童話が次々と出てきて楽しいが、それにしても「隣の男」は昔話の主人公たちになんとたくさんの悪行を重ねてきたのか!犬3頭(?)を連れた桃太郎に退治されちゃうぞ!(^-^)
読了日:04月19日 著者:伊坂 幸犬郎


家康、江戸を建てる家康、江戸を建てる
荒野であった江戸を開拓した家康の話。家康の家臣や現場の職人たちの心意気に胸が熱くなり、またどの話もとてもおもしろかった。川の流れを変え、水道を敷き、貨幣を鋳造し、石垣を築き、天守を建てる。最後まで興味を削がれることなく一気に読んでしまった。現在の地名が出てくるのは興醒めでもあったが、反面、生まれ育った東京のあちこちの地名の起源もわかり興味深かった。来年のNHK大河ドラマは家康だとか。日ごろ、それほど関心のなかった大河ががぜん楽しみになった。
読了日:04月23日 著者:門井慶喜


ドライブインまほろば (双葉文庫)ドライブインまほろば
初読みの作者だが、引き込まれるストーリーと共に無駄のない文章にページをめくる手が止まらなかった。育児放棄、虐待、児童売春・・実際に多く起こっている悲惨な場面が続く。加害者である親たちもまた、かつては被害者の側であったことが切ない。人々の「まほろば」となりそうなドライブインのオーナーもまた、心に親子の深い傷を背負っている。彼女の母の、自己防衛のためのひとりよがりの愛情過多、これも実際にも多いと思う。様々なことを考えさせられながら、安易な展開でないことも好感がもてた。作者の他作品も読んでみたい。
読了日:04月24日 著者:遠田 潤子


甘露梅―お針子おとせ吉原春秋 (光文社時代小説文庫)甘露梅―お針子おとせ吉原春秋
江戸時代に生まれた「必要悪」「苦界」とは思いつつも、反面、独特の勢いがあり色鮮やかな文化のひとつとして吉原には惹かれている。「漂砂のうたう」「吉原手引草」「落花狼藉」など読んできたが、宇江佐真理さんの描く吉原はそれらと異なり、寡婦のお針子おとせの目を通して描かれている。外の世界からやってきて吉原を覗いたおとせのまなざしは優しく、遊女や幼い禿たちを支える。四季の移ろいも鮮やかに描かれ、心地よく酔わされる。しかし、最後の凧助との経緯は少し残念。おとせさん、いつまでも凛として遊女たちの拠り所でいてほしかったな。
読了日:04月27日 著者:宇江佐 真理