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2021年3月に読んだ本

背筋を伸ばしたいときに読む朝井まかてさん、別世界に浸りたいときに読む伊坂幸太郎さん、とにかくホンワカしたいときに読む吉田篤弘さん、いつもの作家に加えて3冊目の原田マハさん、初めてのあさのあつこさん・・3月も楽しい読書でした。

積読のたくさんの本が気になります。池谷裕二さんの脳科学の本3冊、明治の日本を訪れた英国人の本2冊、建築の本1冊・・、小説でない本は章の切れ目で一端置いておけるのがいいのかいけないのか。興味はとてもあるのに。年度初めの4月、積み残しを1冊でも消化できればいいのですが・・。

 

読んだ本の数:12


落陽感想
明治天皇および皇后を祀る場として造られた明治神宮。神宮林を造るにはふさわしくないと言われた東京での設立の日々が、若き新聞記者の目を通して描かれている。神社らしからぬ広葉常緑樹、全国からの献木などでなる人口の森林は、完成まで100年とも150年とも言われている。私自身、初詣や七五三の際に訪れ、御苑の菖蒲苑や外苑の絵画館など馴染みのある場所の歴史は興味深かった。1920年の設立から100年たった明治新宮を今また訪ねてみたい。17才で天皇となり、人民に敬愛されていた明治天皇の人となりを垣間見ることもできた。
読了日:03月02日 著者:朝井 まかて


本所おけら長屋(十五) (PHP文芸文庫)本所おけら長屋(十五) (PHP文芸文庫)感想
ずいぶん前に「本所おけら長屋」を読み、その後シリーズになっていたことも知らずに、突然の第15巻!しかし、なんの違和感もなくすんなりと長屋の一員になれた気分だった。まるで落語のようなわかりやすいストーリーの中に、笑いあり涙(とまではいかないが)あり。こういう江戸のあたたかい長屋ものを、時々読んでみたくなる。
読了日:03月03日 著者:畠山 健二


想像ラジオ (河出文庫)想像ラジオ (河出文庫)感想
数年前に購入したのに、怖くなって途中で投げ出してしまった本。突然襲った災害で、生死が別れてしまった人々のそれぞれの思いをどう受け止めたらいいのか。直接被害を受けなかった者が、安易に思いを馳せていいものか。ボランティア同士の会話部分には考えさせられ、今、この本を読んでよかったと思う。まったく関係ないが、昨日、桃の節句に幼馴染みが段飾りの写真をLINEで送ってきた。それを見るうちに、今は亡き彼女の両親の顔が目に浮かび、これからの彼女の安泰を願ってしまった。雛人形に思いをこめた彼岸の人々の声を聞いた気がした。
読了日:03月04日 著者:いとう せいこう


欲が出ました欲が出ました感想
〈納得欲〉そうなのだ、納得させてほしいのだ。そして、納得させてあげたいなとも思う。〈肯定係〉いたらいいいな!そばに寄ってきては「いいのよ」「大丈夫よ」とささやいてくれる。しかも、不要な肯定はしないし甘やかしすぎない。これ大事。私たち日本人が憧れる北欧の人たちはどんな暮らしに憧れているのかな?本当に。一番はまったのは椅子の背にかじりついて「イスカンダル」。サラッと読んでクスッと笑って終わった。
読了日:03月05日 著者:ヨシタケ シンスケ


弥勒の月 (光文社時代小説文庫)弥勒の月 (光文社時代小説文庫)感想
初めてのあさのあつこ作品。女性の書いた時代物ということで、人情味溢れる物語という勝手な予想は良くも悪くも裏切られた。信次郎・清之介・伊佐治、それぞれ屈強で癖の強い男たちが、どのような時を経て今の姿になったのか。その謎を解きたく、骨太なこのシリーズを追うことになりそうだ。
読了日:03月08日 著者:あさの あつこ


魔王 (講談社文庫)魔王 (講談社文庫)感想
「この国の人間は、怒り続けたり、反対し続けるのが苦手なんだ」次々対面する問題をサラッと流す傾向が確かにある。憲法自衛隊外交問題・・「考えろ考えろマクガイバー」自分が言われているようだ。2004年に書かれたこの作品の中にあった「洪水の中で流されず立ち尽くす1本の木になりたい」という言葉。比喩として語られた言葉だろうが、あの日から10年目を明日に控え、この言葉が頭から離れない。他の伊坂作品ほどは楽しめなかったが、続編と言われる「モダンタイムス」に期待している。
読了日:03月10日 著者:伊坂 幸太郎


モダンタイムス(上) (講談社文庫)モダンタイムス(上) (講談社文庫)感想
「魔王」から続けて読んだが、まだまだ謎の中で、下巻での種明かしが楽しみになる。井坂好太郎はなにもかもわかっているのか?渡辺の妻佳代子の正体は?「シーソーモンスター」のたくましい嫁姑のような・・と想像してしまう。「苺畑さようなら」は「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」?(^.^)
読了日:03月14日 著者:伊坂 幸太郎


モダンタイムス(下) (講談社文庫)モダンタイムス(下) (講談社文庫)感想
「魔王」「モダンタイムス」(上)(下)とまるで1200ページにわたる長編をやっと読み終えた感がある。政治・コンピューター関連など難解で着いていくのが大変だった場面もあるが、軽妙な語り口や気になるストーリー展開はおもしろかった。社会や国家はそれ自体が大きな流れを持った生き物なのか。そこから距離をとった渡辺夫婦に反して、さらに立ち向かおうとする五反田ともしかしたら大石も。その後、彼らはどうなったのか?妻佳代子はこのままカフェのオーナーで治まるのか?なんだか続編がありそうだ。
読了日:03月17日 著者:伊坂 幸太郎


キネマの神様 (文春文庫)キネマの神様 (文春文庫)感想
涙が乾くのを待ちながら満ちたりてエンドロールを眺めている、まさにそんな読後感だった。ギャンブルに溺れながらも映画を愛してやまない老人とその娘、そして映画が繋いだ日米ふたりの老人の友情。映像でも良い作品になりそうだが、ようやく8月に公開が決まった映画は主役の青年時代が盛り込まれ少し内容が異なるらしい。2、3本立てで楽しんだ町の名画座、ロードショーを巨大スクリーンで楽しんだ街の映画館。どちらも懐かしい。別世界へ誘ってくれた映画が、シネマコンプレックスの登場で様相が変わったが、今、とても映画館に行きたい!
読了日:03月22日 著者:原田 マハ


ホワイトラビットホワイトラビッ感想
終盤、種明かしがされるにつれ、アレッ?と前を読み返したいようだった。黒澤の大胆なアイディアにはいちいちビックリ!切羽詰まっているのにとぼけた会話がどれも楽しかったが、特に中村と今村のコンビが漫才を見るようでおもしろく愛しくなった。あっ、犯罪者だった、(^.^)
読了日:03月26日 著者:伊坂 幸太郎


草々不一草々不一感想
太平の世となり、武士であることの意味を見い出し難くなった時代、切なくも筋の通った心意気が感じられる短編集だった。朝井まかてさんの本を読むと、いつも背筋がシャンと伸びる。「蓬莱」の波津、「春天」の芙希の女心が逞しくもまた、いじらしい。「草々不一」では、亡き妻の文を読みたさに手習い所に通う姿がほほえましい。ほっこりするよい最終話だった。大犬と寄り添うりくの後ろ姿をはじめ、表紙や挿絵もどれも魅力的だ。庶民を描いた「福袋」と対になっているようだが、どちらもよい本を読んだという思いで満たされた。
読了日:03月29日 著者:朝井 まかて


木挽町月光夜咄 (ちくま文庫)木挽町月光夜咄 (ちくま文庫)感想
吉田篤弘さんが、木挽町鮨屋を営んでいた曾祖父の存在を知り、思いを馳せるエッセイ。これまで読んできた吉田作品の舞台裏がそこここにうかがえるのが嬉しい。吉田さんらしい造語や、言葉や文字に対する遊び心も楽しかった。《「では、さようなら、ぼくはねます」とひらがなのきぶんになって、たのしくふとんにもぐった》いいなぁ!わたしもときどきひらがなのきぶんですごしてみようとおもう。祖父母、曾祖父母のルーツをたどってみたくなった。
読了日:03月31日 著者:吉田 篤弘