今日もブログ日和

犬・本・料理大好き!節約しながらエンジョイシニアライフ♪

2017年年間読書記録

読んだ本の数:82
読んだページ数:21939
ナイス数:1925

無私の日本人 (文春文庫)無私の日本人 (文春文庫)感想
「無私」という言葉に惹かれ読んでみた。公共心・責任感・廉恥心などを、江戸時代ほど人々が持ち合わせていた時代はないと著者は言う。そうなのかもしれない。だからこそ江戸時代に憧れるのかもしれない。それでは、現代人はそれらを失ってしまったのか?それとも今も実は持ち続けているのか?失ってしまったとしたらいつ、どのように?考えることは多かったが、楽しみの読書としては読み終えるのにとても苦労した。これもかつての日本人にあった「忍耐」という美徳が私に欠けているということか。磯田さんが古文書に触れたときの感動は伝わった。
読了日:01月05日 著者:磯田 道史
([ほ]3-1)月のうた (ポプラ文庫)([ほ]3-1)月のうた (ポプラ文庫)感想
賢く自分を律することができ、温かく人を見つめることができる民子。その小・中・高校生時代を描いた小説で、自分より幼い人なのにそんな民子から学ぶことが多い。その対局にいるような継母宏子とその母親だか、彼女たちもまた、民子とは違った生きる力強さと知恵を感じる。なにより素晴らしいのは民子の母美智子と祖母、そして母の親友祥子と陽一親子の含蓄のある本当の思いやりに溢れた言葉。美智子民子親子との二代にわたる友情にも心打たれた。「本当の優しさは自分のことを全部背負こんで落とし前をつける強さがないと出てこない」確かに。
読了日:01月10日 著者:穂高 明
優しい死神の飼い方 (光文社文庫)優しい死神の飼い方 (光文社文庫)感想
現在はホワイトゴールデンを飼っているが、表紙のレオは先代ゴールデンにそっくりで思わず購入した。魂を案内する存在のレオと同僚の会話「肉体を離れた魂はその後どうなるのか?」の答えはとうとう読者には教えられなかった。それが知りたかった!読者の想像に任せられたのか、当然のことながら著者にも思い及ばぬことだったのか。まぁ、仕方ない。ホスピスに入っている人々、そこで従事している人々はどんな思いでいるのだろう。小説は都合よく話が進んでいるようにも思うが、こんな風に死を安らかな気持ちで迎え、また送れたらいいだろうなぁ。
読了日:01月16日 著者:知念 実希人
恋するハンバーグ 佃 はじめ食堂恋するハンバーグ 佃 はじめ食堂感想
「食堂のおばちゃん」を購入後、その全段階のお話が後から出版されたことを知り、時系列に合わせてこちらから読んでみました。時も場所もまさに自身の思い出とぴったりと重なる昭和の東京が描かれ、家族や近隣の人々の関係も優しく心和みました。ウルトラQ東京オリンピック・万博・ビートルズ来日・ミニスカート・オールナイトニッポン・・・どれもこれも懐かしい!さぁ、「食堂のおばちゃん」を読んで平成の世に戻るとしましょうか。今日の夕飯に巻末のレシピを見てメンチカツを作ってみました。美味しかったです。
読了日:01月20日 著者:山口恵以子
お金をかけずに老後を楽しむ 贅沢な節約生活お金をかけずに老後を楽しむ 贅沢な節約生活感想
著者の本をこれまで何冊か読んでいるので、特に目新しい記述はなかったように思います。また、すでに実践していることや、心がけていることがほとんどでした。でも、まさに「その時期」になった今、この本を読むことは再確認という意味でよかったと思います。経済的に節目の時期を迎え、戸惑っている方にはおすすめです。「妻との会話を大切に」の部分は夫に読ませてみようかな。(^^)
読了日:02月02日 著者:保坂 隆
幸せのプチ ――町の名は琥珀幸せのプチ ――町の名は琥珀感想
読書メーターで他の方のコメントから出会えた本。年代も場所も懐かしかったわりに、はじめはお話になかなか入り込めませんでした。ところが、章が進むにつれだんだんと親しみがわいてきて、まるで琥珀という町に1年2年と住み慣れていくような感覚でした。中でも最終章では「ああ、あの人はそうなったのね!」と納得したり、しっかり琥珀の住民になりきっていました。そして、そんな住民たちをそっと見守る白い犬プチは妖精か?町の守護神か?普通の人の普通の暮らしを暖かく包み込むようなお話でした。
読了日:02月06日 著者:朱川 湊人
食堂のおばちゃん食堂のおばちゃん感想
おいしいお袋の味、暖かい人情、人々の善意、みんなみんなごちそうさまでした!
読了日:02月07日 著者:山口恵以子
グアテマラの弟 (幻冬舎文庫)グアテマラの弟 (幻冬舎文庫)感想
お酒とたばこを愛し怪しいおっさん然とした神様に、お目にかかってみたくなりました。あいさつ代わりに大声をかけまくり、時計なんてあってないようなグアテマラの暮らし。はじめは違和感を感じるでしょうが、はいりさんの弟さんのようにそこになじんでしまえば、日本人っぽい性格も変わりむしろ楽しく過ごせるかもしれないと思いました。あとがきに弟さん自身の手で後日談が語られていたのもよかったです。グアテマラに限らず、世界のあちこちにあるであろう「ぶったまげ」な暮らしを探しに旅に出てみたくなりました。
読了日:02月13日 著者:片桐 はいり
あきない世傳 金と銀〈3〉奔流篇 (時代小説文庫)あきない世傳 金と銀〈3〉奔流篇 (時代小説文庫)感想
高田郁さん、本当に読者をお話に引きむ力が素晴らしいです。登場人物のひとりひとりに親しみを感じて、一緒になって一喜一憂しているうちに読み終えました。惣次だけはちょっと・・・ですが。菊栄さんが今も生き生きと活躍されているのはよかったです。まだまだ波瀾万丈でしょうが、いつか惣次にも優しい目を向けられる展開になると嬉しいです。
読了日:03月06日 著者:髙田 郁
小さな恋のものがたり第43集小さな恋のものがたり第43集感想
16才の誕生日に友人から贈られた第1集。それから50年近く過ぎ、ズラッとそろった私の宝物を息子の嫁が見つけて読み始めました。それを期に、悲しい結末と知って手にできなかった最終章をようやく読むことができました。高校生の私ならこの結末は堪えたかもしれません。でも、大人になった私は違う。「サリーのお嫁さんになる」それだけを夢見ていたチッチ。今、飛び立っていくサリーを泣き笑いで送り、自分の夢をもう一度探すチッチはなんと素敵なのでしょう!きっとふたりとも大きくなる!胸キュンだけれども素晴らしいエンディングでした。
読了日:03月12日 著者:みつはしちかこ
東京會舘とわたし(上)旧館東京會舘とわたし(上)旧館感想
関東大震災・世界大戦など過酷な歴史を見つめながら、大正昭和の時代を生きてきた東京會舘。そこで働く人々の職業人としての矜持を、どの章からも強く感じました。中でも同じ女性として理容館の遠藤波津子さんには惹かれました。「驚くほどに風通しのいい、気持ちのよい物言いをする女性」は、また、きめ細やかな気遣いや、そっと気配を消すこともできる女性です。そんな女性になりたいものです。會舘で働く人々のホスピタリィティ溢れる言葉遣いも心地よかったです。上巻最終章から自分の記憶と重なる時代になり、下巻も楽しみになりました。
読了日:03月16日 著者:辻村深月
東京會舘とわたし(下)新館東京會舘とわたし(下)新館感想
東京會舘で働く人々に着眼した「旧館」に対して、訪れた人々を描いた「新館」。どちらも格調ある會舘に我が身を置くような心地よさで読み終えた。登場人物が他の章で再び顔を見せてくれる心遣いもうれしかった。ただひとつ苦言を。会話ではない部分で「だけど」「いろんな」などの言葉を目にする度に違和感を覚えた。昭和の高齢者が「まぁ、そうなんですね。」とは言わないのでは。些細なことかもしれないが、そういった違和感をまったく感じさせない「巧い」作家たちのことを思った。良い作品を書く人だからこそ、文章が洗練されることを望みたい。
読了日:03月22日 著者:辻村深月
遠い唇遠い唇感想
メチャクチャ面白いというわけではない、誰にでもお勧めというわけでもない。でも、北村薫作品を読むと「ああ!私はこの人が好き!」といつも思う。過不足のない優しさを感じる。バランスの取れた心地よさを感じる。そして、文章が美しい。「しりとり」では、年を取り生死で生きる世界が別れても、夫婦が出会った頃の心の灯がいつまでも温かい。「ゴースト」の常に快活を装ってしまう朝美の心に共感し胸が痛む。彼女が「パトラッシュ」の翠が出会った彼のような安らぎの人といつか出会えますように。異色のSF作品「解釈」も面白かった。
読了日:04月06日 著者:北村 薫
宮部みゆきの江戸レシピ宮部みゆきの江戸レシピ感想
宮部みゆきさんの江戸物はすべて読んでいる。その中にこれほどたくさんの、また魅力的な料理が出ていたとは。ストーリーとは離れたところでの、宮部さんの料理に対する熱意にも感心した。「料理屋」「居酒屋・飯屋」「屋台・総菜屋」「江戸庶民の食卓」と章が分かれているのも楽しい。「今は毎日、ご馳走ばかりで、暮らしにメリハリがなくなったような気もします」と言う「なべ屋」主人福田さんの言葉が印象的。回向院の茂七親分・煮売り家のお徳さん・そして謎の稲荷ずし屋の親父など懐かしい人たちとの再会もうれしかった。
読了日:04月11日 著者:福田 浩,小澤 忠恭
ツバキ文具店ツバキ文具店感想
鎌倉の情景や鳩子の丁寧な暮らしぶりには惹かれるものの、最初はなかなか話に入り込めなかった。しかし、鳩子が代筆する手紙の美しく優しいこと!お手本として壁に貼っておきたいほど。これほどうまく書けないが、心を込めた手紙を書きたくなった。そのうちにすっかり自分も鎌倉に住む鳩子の仲間の一人になってしまい、QPちゃん親子との「デート」のシーンでは胸がポ~ッと温かくなった。先代への手紙、天国の「おばあちゃん」に無事届くといいな。
読了日:04月18日 著者:小川 糸
大志の歌―童話の学校 校歌・寮歌大志の歌―童話の学校 校歌・寮歌感想
イライラモヤモヤした気持ちを持てあまし、ふと本箱の中から取り出して再読。様々な生き物になりきった校歌寮歌の歌祭。間に挟まれた臨場感ある愉快なアナウンスにもクスッと笑いを誘われる。いかにも安野さんらしく、微細なところにも凝ったユーモアがちりばめられ、タイトルに歌詞にそして校章にまで楽しませてもらった。色々な生き物に暫し変身しているうちに、機嫌もすっかりなおっていた。
読了日:04月26日 著者:安野 光雅
誰かと暮らすということ誰かと暮らすということ感想
タイトルに惹かれた。虫壁さんとセージ、お互いになんとなくわからないところがあるのが、「誰かと暮らす」コツかもしれない。新しい住まいに移り、幸せに暮らしていそうだけれど、愛すべきミステリアスな部分は残っているといいな。冒頭の虫壁さんの、ティッシュ配りの人に断るにも会釈してしまうとか、「自分はちゃんと怒っている」と再確認しなければならないほど不愉快な言動を押さえてしまう人、意外と多いのかもしれない。実は私も・・・と、ここが一番共感ポイントだった。
読了日:05月02日 著者:伊藤 たかみ
モモ (岩波少年文庫(127))モモ (岩波少年文庫(127))感想
時間どろぼうの灰色の男たちの気配を身近に感じて再読。道路掃除夫ベッポの言葉にはいつも納得させられる。「これから掃除しなければならない長い道路のことを考えてはいけない。次の一歩のことだけを考えてひと掃きすると、楽しくなってくる。これが大事。楽しければ仕事がうまくはかどる。」「忙しい」という字は「心を亡くす」から来ていると言われる。その真偽はわからないが、灰色の男たちに時間を奪われないように用心用心!
読了日:05月04日 著者:ミヒャエル・エンデ
希望荘希望荘感想
頭の中ではすっかり小泉孝太郎さんの顔で、杉村三郎が四つの事件を解決していく。四作とも重い。人間の暗い部分、弱い部分、邪悪な部分を目の当たりにして息苦しくなる。そんな中、どの作品にも気持ちを救われるような登場人物がいる。そして何よりも杉村三郎の中の静かな「善」によってこのシリーズにはいつも惹き付けられる。読み終えてふと思う。人の心は善ばかりではない。でも、多くの人は善に少しでも近づこうと、つまずきながらも懸命に歩んでいるのではないのかな。
読了日:05月17日 著者:宮部 みゆき
禅が教えてくれる 美しい人をつくる「所作」の基本禅が教えてくれる 美しい人をつくる「所作」の基本感想
朝を大切にして「手を合わせる」「テレビはつけない」「起きたら、まず5分間掃除をする」さっそく実践しようと思う。「夜に心配事を考えない」「同じ時間に眠る」心がけたいと思う。「腹八分」この快適さはわかっているが、困ったことに食欲に抗えないことが多い。立つ姿勢・座る姿勢・手の組み方・半眼・・・的確な説明が役立ちそう。「日々是好日」の思いで毎日をすごしたい。得るものの多い一冊だった。
読了日:05月19日 著者:枡野 俊明
出会いなおし出会いなおし感想
「むすびめ」お互いに全く違った思惑で心に重石を置いていたふたり。15年ぶりの再会で、スルスルとしこりがほどけてよかった。現実にもこういうことはあるのかもしれない。「青空」はすんなりと心に染みてきた。父子の明日が幸せでありますように。「カブとセロリの塩昆布サラダ」はまずタイトルに食欲を刺激され、読んでいる途中で作ってしまった。セロリがなかったのでキュウリで代用。「そこはセロリでしょ!」とクレームが来ませんように。「ママ」は「ムーミン」が、読みたくなった。森絵都さんらしい澄んだ空気の感じられる短編集だった。
読了日:06月03日 著者:森 絵都
ああ面白かったと言って死にたい―佐藤愛子の箴言集ああ面白かったと言って死にたい―佐藤愛子の箴言集感想
あとがきで著者が望んでいるように「こういう考え方もあるのね」という感覚で読み終えた。毅然と闘う姿勢が常に感じられる著者のようにはとても生きられないとは思うけれど、「強さ」やましてや「弱さ」で勝負する女でなく「大きさ」で勝負する女ではいたいもの。そして、「身ごなしは機敏に」ね。はっきり自己主張しながら突き進むイメージの佐藤さんにはこんな言葉も「優しさっていうのは、喧嘩しないとか、おとなしいというのとは違うのよ。相手の気持ちを忖度出来るっていうのは、優しさの第一の条件でしょう。」なるほど。
読了日:06月09日 著者:佐藤 愛子
注文の多い注文書 (単行本)注文の多い注文書 (単行本)感想
面白かった!「注文書」「納品書」「受領書」という3部構成で、あるとは思えない5つのものを探し出しそれぞれの注文者に届ける話。小川洋子さんらしいしっとりとした落ち着いた文章で、ストーリー以前に心地よさに包まれる。そして、初めて知った「クラフト・エヴィング商會」にすっかりはまってしまった。奇想天外なアイデアと入念な手仕事にもっともっと触れたくて、Amazonに著書を4冊も注文してしまった。好き嫌いは大きく分かれるだろうが、素敵なオモチャを見つけた気分。ストーリーとしては「貧乏な叔母さん」がよかった。
読了日:06月12日 著者:小川 洋子,クラフトエヴィング商會
ないもの、あります (ちくま文庫)ないもの、あります (ちくま文庫)感想
ああ!おもしろかった!私は「左うちわ」がほしいかな。そして、夫には「相槌」を買ってあげて、大中小の相槌をうまく使いこなしてもらいたいなぁ!「先輩風」も笑えた。シュッと吹かせてみようかしら。
読了日:06月14日 著者:クラフト・エヴィング商會
針がとぶ - Goodbye Porkpie Hat (中公文庫)針がとぶ - Goodbye Porkpie Hat (中公文庫)感想
不思議な世界をフワフワ漂っているような感じ。穏やかで静かな時間がゆったりと流れていく。パスパルトゥのような雑貨屋さんが近所にいてくれたらいいな。
読了日:07月02日 著者:吉田 篤弘
高円寺純情商店街高円寺純情商店街感想
昭和の商店街と鰹節の匂いが懐かしくて再読。30年近く前に書かれた本、しかも舞台はさらに古くねじめさんが中学生のころ。同時代に育ったのでどこを読んでも納得できる。かつて実家の近所にあった商店街の賑わいが目に浮かぶ。乾物屋・魚屋・肉屋・八百屋・・・買い物かごを下げて母に頼まれたお使いをしたあのころ。今は便利でいいけれど、あのころに戻ってみたいなぁ。ちょっとタイムスリップさせてもらったようで再読してよかった!家業を当然の仕事として手伝うことはもちろん、大人たちの心情を慮ることのできる正一はエライなぁ!
読了日:07月05日 著者:ねじめ 正一
ナツイチ2017 ひとりの時間を、ひとりじめ。ナツイチ2017 ひとりの時間を、ひとりじめ。感想
既読10冊。「短編○○」は読んでみようか。リバーシブルカバーはどれもかわいい!
読了日:07月08日 著者:集英社
新潮文庫の100冊2017冊子新潮文庫の100冊2017冊子感想
既読16冊。積読2冊。やっぱり新潮よね、という感じ。本文を1行切り抜いた構成には惹かれ、どれも読んでみようかと思ってしまう。
読了日:07月08日 著者:新潮社
富士山噴火富士山噴火感想
我が家から遠くない御殿場市を通る度に、富士山が噴火したらここの人たちはどうなるのだろうといつも気になっていた。新居見元自衛官や黒田市長は小説中の人。この本を読んでいっそう不安が募った。防塵マスクと防塵ゴーグルを実は用意はしているのだが、それがどれほどの役に立つのか。自衛隊の指揮系統の見事さ、市長の判断能力と責任感が現実の世界でも見られるとよいのだが。真に迫る小説だった。
読了日:08月02日 著者:高嶋 哲夫
さがしもの (新潮文庫)さがしもの (新潮文庫)感想
あとがきのエッセイが一番面白く共感できた。書店に入ったときの高揚感、本が別の世界へ連れていってくれるという思い、本好きなら「そうそう!」と納得だろう。「偏った短編」と角田さん自身が言うように、あまり「相性のよくない」作品もあったがいつか再読したらまた違うのかもしれない。「ミツザワ書店」「さがしもの」がよかった。
読了日:08月05日 著者:角田 光代
「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)感想
勝ち負けを作らないゴリラは対立したときは目を見つめ合って解決する。家族内では優劣がなく食べ物も分け与え子守りも手伝う。年長のゴリラは見返りを求めずに年少の仲間を保護する。食事を共にするゴリラの家族に対し、人間社会では「個食」の言葉が聞かれるようになって久しい。家族の関係が希薄になり、その代わりというかSNSなどで遠方の人と繋がっている。「生身でないコミュニケーションにいつか自然回帰的な動きが起きるだろう」と著者は期待している。そうあってほしい。時に面倒な家族親戚と集う時間が、しばしよきものに思えた。
読了日:08月08日 著者:山極 寿一
モルフェウスの領域 (角川文庫)モルフェウスの領域 (角川文庫)感想
ドラマで見た一連の「チームバチスタ」がどれも面白かったので、「カドフェス」の中から選んだ1冊。う~ん、面白くないことはなかったけれど、映像で見た方がわかりやすいかな。精気あふれる翔子さん登場の場面だけ、なんだか心楽しくなった。松下由樹さんの顔が浮かんだ。
読了日:08月16日 著者:海堂 尊
「器が小さい人」にならないための50の行動 脳科学が教えるベストな感情コントロール法「器が小さい人」にならないための50の行動 脳科学が教えるベストな感情コントロール法感想
職場にいる「キレやすい人」対策で読んでみた。突然の降ってわいたような強力な怒りの発散に、皆、手を焼いている。後になると反省し自己嫌悪に陥っているようなのは、本書にも書いてある通り。本書から得た対策は、「相手の怒りに煽られない」「人間関係の車間距離を保つ」「5分でも、10mでも離れる」。あとは「よく眠ってね」とアドバイスできればよいのだが。上司が彼女の良いところを褒めて、彼女の脳に良い刺激を与えてくれたら、少し好転するような気もした。
読了日:09月01日 著者:西多昌規
あきない世傳 金と銀(四) 貫流篇 (時代小説文庫)あきない世傳 金と銀(四) 貫流篇 (時代小説文庫)感想
4巻目にして、ようやくハラハラドキドキでない終わり方。このまま順風満帆とはいかないのだろうが、心安らかに読了できた。人の心を大切にする智蔵は、商才ある幸のむしろ良いブレーキになってくれるのかもしれない。五鈴屋を陰から支える元番頭治兵衛、さりげない気遣いで五鈴屋を思いやる菊栄、ふたりの温かさと凛とした姿勢が魅力的だ。五鈴屋を広めてくれそうな、茂平や伝七・留七の活躍も期待したい。いつの間にか、私も五鈴屋の女衆のひとりになったような気になっている。
読了日:09月10日 著者:高田郁
という、はなし (ちくま文庫)という、はなし (ちくま文庫)感想
ああ、読み終えてしまった。残念!なんとも心地よい大人の絵本。「眠くない」「日曜日の終わりに」が特にわかる!雑多な用事を終え、「さぁ、お楽しみの読書!」と思った頃には眠くなる。日曜日の終わりに「毎日が土曜日と日曜日ならいいのに」と思う。「《1時間》をひとつください。《ゆったり味》で。」言ってみたいなぁ。友達にこの本をプレゼントしたいけれど、好き嫌いが分かれるかな。吉田篤弘ファンだけれど、はじめましてのフジモトマサルさん。なぞなぞの本を注文した。
読了日:09月10日 著者:吉田 篤弘
もし犬が話せたら人間に何を伝えるか (じっぴコンパクト新書)もし犬が話せたら人間に何を伝えるか (じっぴコンパクト新書)感想
タイトルに惹かれて図書館から借りたが、ちょっと期待外れ。犬種の紹介、犬の能力、犬に関する著者の思い出などに終始した感じ。犬に対する愛情は十分感じられ、イラストもおもしろくはあったが、犬好きにとっての新しい発見などはなかった。
読了日:09月14日 著者:沼田 陽一
冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)感想
かがみの孤城」の感動を引きづったまま、多くの方が「似ている」と言われるこの作品を読んでみた。デビュー作ということで文章の稚拙さを感じる部分もあるが、それはその後の作者の成長が著しいことの表れだろう。誰からも「優しい」と言われることを、「気弱さ」「自分が安心したいだけ」とする充に自身を見た思いがした。深月の戸惑い、昭彦の後悔、清水の孤独感、多くの人が心に秘めていそうな思いにハッとする。重さに逃げ出したい気持ちもあるが、謎解きも佳境に入る下巻が楽しみでもある。
読了日:10月04日 著者:辻村 深月
冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)感想
やっとやっと読み終えた。謎が気になって一気読みではあったけれど。う~ん、好評なようだが私としては☆3つ。「ツナグ」や「かがみの孤城」は☆5つだったけれど。あまり感情移入ができなかった。特に一番肝心な深月に。解説の方に先を越されたが、自分の中に充を見つけた。「明るい絶望と前向きな諦め」。もう一人好きなキャラクターのサトちゃんはその後どうしているのかな。榊の隣で微笑んでいてほしい。
読了日:10月09日 著者:辻村 深月
家族シアター家族シアター感想
どこの家庭にも見られそうなちょっとしたほころびと、それがさりげなくふさがれていく温かい短編集。『1992年の秋空』小学生のはるかとうみか姉妹の話がいい。「学習」派の姉と、「科学」派の妹。「学研のおばちゃんまだかな~」のCMソングと共に、「科学」派だった自身の小学生時代や、宇宙飛行士毛利さんのことを思い出す。「考え方が似ていなくても、姉より頭がよくても、私の腕を無条件に頼っていいのはこの子だけ」という姉はるかの思いが胸にしみる。『孫と誕生会』のおじいいちゃんの良識もかっこよかった。
読了日:10月14日 著者:辻村 深月
ゴーストゴースト感想
「ミシンの履歴」は一人の人の波瀾万丈の一生をなぞるような気持ちになり、引き込まれて読んだ。ご苦労様でした、ミシン。その他、切ない気持ちになる短編が多く、特に「キャンプ」は苦しくて大急ぎで読み飛ばしてしまった。中島京子さんの作品は自分に合うものとそうでないものと、開きが大きいと感じた。
読了日:10月16日 著者:中島京子
雪まろげ: 古手屋喜十 為事覚え (新潮文庫)雪まろげ: 古手屋喜十 為事覚え (新潮文庫)感想
やんちゃな捨吉の様子が愛らしく、息子たちの幼い頃のことを思った。こんな宝物のような時間を過ごしたのに、そのころはそれをいとおしむ余裕がなかった。幼子に「おかしゃん」と後を追われるおそめさんがうらやましいような。でも、喜十さんもおそめさんも今が大変なとき、そして幸太を迎えてますます苦労も増えることだろう。一家のこれから、そして捨吉の姉妹のこれからを読むことができないのが本当に残念。著者の構想を覗いてみたかった。
読了日:11月05日 著者:宇江佐 真理
脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? (新潮文庫)感想
「なるほど!」「へ~!そうだったのか!」と感心し、驚き、そして何より面白く読める科学的「エッセイ」。とはいえ、耳慣れぬ言葉も多く、読んだ傍から記憶の物陰に隠れていってしまうものが多いのは残念。「体を動かす作業興奮によりモチベーションが高まる」「睡眠は記憶を助ける」「痛み止め(実はニセモノ)を服用したと思うと痛みが軽減する」などは実生活に役立ちそう。「物忘れは探し出すべき記憶が増え時間がかかるだけ」納得。「カレーに含まれるクルクミンがアルツハイマー予防になる(のでは?)」カレーを食する日を増やそう。
読了日:11月06日 著者:池谷 裕二
草枕 (新潮文庫)草枕 (新潮文庫)感想
長い間の積読本をようやく読み終えた。難解で作品の良さがわかりにくい。あまりに読みづらいので、声に出して読んでみるとなんと気持ちのいいことか!美しい文体の魅力と、日本語の豊かさに気づかされた。
読了日:11月06日 著者:夏目 漱石
五郎治殿御始末 (新潮文庫)五郎治殿御始末 (新潮文庫)感想
幕末から明治へと時代が移り変わる中、己の生き方に最も迷いを感じたのは武士という身分で生きてきた人たちかもしれない。グレゴリオ暦や時刻の数え方はすべての人を戸惑わせたであろうが、武士としての矜持をどこまでどのように持ち続けたものか、武士ならではの苦悩であったろう。6つの短編の登場人物たちの心の動きが、読んでいても切ない。同時に、苦悩の末の彼らの潔さや、不器用に前進する様は見事というしかない。すべて実話で、実存する人物ならば、と願ってしまう。「柘榴坂の仇討」を筆頭に胸を打つ話ばかりだった。
読了日:11月10日 著者:浅田 次郎
善人長屋善人長屋感想
実は全員が裏家業持ちという「善人長屋」。そこに正真正銘の善人加助が加わり騒動が・・・。はじめのうち、加助は隠密同心の仮の姿に違いないと踏んでいたが、大ハズレだった。困っている人たちをチームプレイで助けていく様は、まるで必殺仕置き人のよう。義理人情に篤く心優しい悪党集団は、実は呼び名通りの善人ぞろいだった。初めて読んだ西條奈加作品。読み心地の良さから離れがたく次は「金春屋ゴメス」へ!
読了日:12月06日 著者:西條 奈加
金春屋ゴメス金春屋ゴメス感想
人間が月に住めるという未来、関東東北の間に作られた「江戸」という鎖国国家が舞台。日本から江戸への入国は1度きり、1度出た者は再入国は許されない。何とも奇想天外な発想が面白かった。恐ろしい怪獣のごとき奉行金春屋ゴメス(本名馬込すずちゃん!)とその手下たちの活躍を楽しんだ。もう少し江戸の暮らしに浸りたいとも思ったが、そんなのんびり楽しいばかりの場所ではない。「日本」の最新医療を拒み、現代では考えられないような恐ろしい刑罰など、「江戸」存続の厳しさも垣間見た。続編も読んでみたい。
読了日:12月11日 著者:西條 奈加
生きていくあなたへ 105歳 どうしても遺したかった言葉生きていくあなたへ 105歳 どうしても遺したかった言葉感想
亡くなられる半年前の1ヶ月にわたるインタビューをまとめた、日野原先生からの最後のメッセージ。近づく死が怖くはないのか、それが一番知りたかった。先生も「怖い」と。しかし、それは本当の自分を発見することにつながり、また、大切な人々は亡くなってからこそ身近に感じるとも。キープオンゴーイング(前進し続ける)とエンカウンター(出会い)の2語、そして、「感謝」の言葉を何度も何度も繰り返して、先生は旅立たれた。
読了日:12月11日 著者:日野原 重明
文豪ナビ 夏目漱石 (新潮文庫)文豪ナビ 夏目漱石 (新潮文庫)感想
吾輩は猫である」「坊ちゃん」はしっかり読み楽しんだ記憶があるが、どうも他の作品は私には理解しがたく、それ以前に読んだ作品も多くないので、ナビの力を借りようと手にした。斉藤孝さんの「声に出して読みたい夏目漱石」には納得。島内景二さんの「評伝」で少し漱石に寄り添う気持ちになった。「近代化の弊害をどこまでも苦しんでくれる人」という評は、なにか現代にもつながるように思える。現代に漱石はいるのか?森鴎外との比較もおもしろかった。近く神楽坂を訪ねる予定があるので、漱石ゆかりの場所を歩いてみたい。