福沢諭吉の「天は人の上に・・・」で始まる「学問のすすめ」。
あれはただひたすらにアカデミックな理想を説いた書物と思っていました。
彼は、アジアの他の国々のように日本が欧米の植民地とならないためには、
「東洋」であることをやめ「西洋」の仲間入りをするべきだと言う理論「脱亜論」を唱えました。
彼の没後今年は101年目になりますが、この100年以上の間の、
日本の発展・近代化のみならず、アジア諸国への侵略・アメリカとの関係など、
すべての始まりは福沢諭吉のこの思想だったようです。
私は、知らず知らずのうちに、若い頃から目は欧米に向き、
近隣のアジアの国々には関心も、はっきり言えば好意も持っていませんでした。
この本を読んで、そんな自分を少し恥じています。
さんざん社会では言われてきたことですが、今、ようやく、
詫びるべき事は詫び、アジア諸国と仲良くしなければと心から感じています。
子供時代を過ごした60・70年代に郷愁を感じ、
人間が変わってしまった、子供が変わってしまったと嘆いていましたが、
もしかしたら60・70年代の子供であった自分はただただ「いいとこ取り」をしただけのこと?
それも偶然に。そんな思いがしています。
もしかしたら「現在」にツケを負わせしまったのかもしれません。
この本は、「だからどうせよ」とは言っていません。
著者とはまた違った視点の本や考えにも触れつつ、考えていきたいと思います。
ただひとつわかっているのは「自分だけいい思いをしよう。」その考えを捨てない限りは、
また同じ道を歩むであろうということだけです。
どのように今の日本ができたのか、近代日本の歩みをわかりやすく書いたこの本は、
もし、私のように何も知らなかった人がいるならば、ぜひ薦めたい本です。
中学生にも大人にも。