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「ハッピーバースデー」

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「ハッピーバースデー」青木和雄・吉富多美

バストセラーには裏切られることが少なくありません。
だから、この本も昨年末に買ってはきたものの、
なかなか手が伸びませんでした。
昨夜も、さぁもう寝ましょ・・・と思ってからふと開いてみただけなのに、
そのまま3時半まで一気に読んでしまいました。

あすかという女の子が11歳の誕生日に、
「生まなきゃよかった」という母の言葉を聞いてしまい、
ショックで声が出なくなってしまいます。
それから、真の愛情にあふれる祖父母と共に暮らすことであすかは再生し、
さらにあすかが人々の心に新しい風を吹き込んでいくお話です。

いいテンポで、しかし丁寧に進んでいくストーリーの中で、
あすかの同級生のお父さんの言葉が心に残ります。

「人生ってのは照る日曇る日がある。
 土砂降りの雨だって降るときがあるんだよ。
 そん時はさ、濡れているのを指さして笑うんじゃなくてさ、
 傘をさしかけてやる度量っていうかさ、優しさがほしいってこと。
 人間なんだからさ、大事なことなんじゃねえかなと思うんだ。」

また、人間的に誰よりも責められるはずのあすかの母にも、
それなりの原因と葛藤があったことも胸にせまります。

過度の上昇志向と自己中心な考えから抜け出せなかった父親も、
あすかとお兄ちゃんの直人という二人の子どもによって、
新しい心の窓を開き自分自身に尋ねます。

「豊かさってなんだろう?」

たくさんの思いを私の心にも残しながら、物語は終わりました。
後半は涙で文字がかすんで困りました。

ベストセラーにはやはり本当に素晴らしい作品もありました。
いい本に出逢えました。