当然のことながら、本の好みというのは人それぞれで・・
学生時代からの仲良し3人でよく本を貸し借りします。
Tの好みは私とかなり近いので、「あっ、それ読む!」となるのですが、
Nの読む本は「なぜ多くの本の中からそれを選んだ!?」と、
何度か聞いてしまったことがあるくらい私の食指が伸びない本が多いです。
例えば、今回の「たこ焼きの岸本」。以前は「うちの旦那が甘ちゃんで」。
思うに、タイトルやカバーのキャッチーな本、
読んでも決して暗い気持ちにならないでさらっと読める本、
その辺が彼女の選択基準のような気がします。
ちなみに英米文学科で一緒だった私たち、
彼女の卒論が一番優秀で大学に残されました。
コロナのせいでもう2年2ヶ月も会っていない私たちは、
LINEで「貸すよ」「あげるよ」と本のタイトルを羅列し、
リクエストした本が、今週3県で行き交います。
緩衝材として地元の食品を入れた私の本は昨日、彼女たちの元へ着いています。
Nには「それ図書館にあったからいいわ」とリクエストなし。(^^;)
「N,好きな伊坂幸太郎はともかく『アルジャーノン』もしっかり読めよ!」(^_^)
もう一つ、私の本箱を塞いでいる本たち・・母からの本です。
やはり多読の母に、末の弟が毎月本を数冊プレゼントしているらしい。
ところが、理系の専門書しか読まない弟は小説には疎く、
江戸長屋もの・元気な老人もの・食べ物関係・落語関係、時に感動の親子もの、
母が読むのではと思う本を訳もわからず選び、なんと2度同じ本を送ったのも発見。
それらを読んでは、母は私の元へどっさり送ってきます。
今回読んだ中では宇江佐真理さんの「十日えびす」。これはよかった。
とはいえ、読む時間<読む本、で困っています。
そのうち整理しなくては!
読んだ本の数:10
クジラアタマの王様
コロナ禍前の年に発行されたことにまず驚く。パンデミック・防護服・マスクだらけ、伊坂幸太郎には1年後の世界が見えたのか?会社員・議員・アイドルの3人が、現実と夢の中とで力を合わせて闘う。夢の中をコミックで表す手法は賛否両論あるとは思うが、私は多いに楽しめた。いつもとはひと味違う伊坂作品ではあったが、おもしろさはいつも通り。最後まで諦めず闘うべきときには闘わねば!かな。
読了日:02月05日 著者:伊坂 幸太郎
お姫様は「幕末・明治」をどう生きたのか
篤姫・和宮・美賀子などの姫に関しては、ドラマなどを通じて知っていることも多かったが、慶喜のふたりの側室信と幸のことははじめて知った。無血開城前後の彼女たちの功績、明治になってからの徳川家の暮らしぶりなど興味深かった。大名の姫たちのたくましい姿にも好感が持てた。正室は子があってもなくてもあくまでも正室。代わりにたくさんの子をもうけた側室たちであるが、その多く特に男児が夭逝していることに驚く。病と共に政治的な陰謀も疑ってしまう。思いの外にたくましい姫たちの暮らしぶり、現存する写真も合わせておもしろかった。
読了日:02月07日 著者:河合 敦
たこ焼きの岸本
絶対に自分からは手が出なそうな本。友達が貸してくれたので読まねば・・。う~ん、まぁ、読みやすい人情喜劇かなという感想。チーズ焼き・ベビーカステラ・紅ショウガの混ぜご飯は作ってみようと思ったのが一番の収穫だった。
読了日:02月10日 著者:蓮見恭子
小説の言葉尻をとらえてみた
再読。国語辞典編集者が小説の中に入り込み、用例採集をするという設定が楽しく、イラストもおもしろい。作者独特の言葉遣いや、誤用かと思われる言葉も、状況からその言葉が使われた意味を考える。言葉に対する著者の飽くなき関心と愛情の深さが感じられる。取り上げられた15作品のうち、既読の6作品はその内容が思い出され、未読の作品2冊にも惹かれさっそく購入してしまった。言葉はおもしろい!
読了日:02月13日 著者:飯間 浩明
目でみることば
表紙の印象的な写真は「ひっぱりだこ」タコの干物を作るときの景色から生まれた言葉だそうだ。「灯台もと暗し」の「灯台」は海を照らす灯台かと思いきや、ロウソクを立てる灯台とは!何気なく使っている言葉の語源を写真と短い文で解説している。写真はズバリそのもののナイスショットで、時に美しく時に愛らしい。解説の文もウィットに富み優しく楽しい。さすが東京書籍。大人のための素敵な語源辞典という感じだ。
読了日:02月14日 著者:おかべ たかし
似ていることば
本来の目的で使うのが「使用」本来の目的外で使うのが「利用」、原型を留めていないのが「原料」留めているのが「材料」、芸術品をつくるときは「制作」実用品をつくるときは「製作」など区別がわかりにくかった言葉が明瞭な写真でよくわかった。中でも笑ってしまったのが、口が可愛いのが「カレイ」口が恐いのが「ヒラメ」。しかもそれは両者のエサの違いからという解説に納得。花・生き物・自然などの写真にも魅せられたが、実家近くの矢切の渡し、今の地元の金太郎像が登場したのは嬉しかった。
読了日:02月21日 著者:おかべ たかし
横道世之介
初めて読んだ吉田修一さんの作品は大変読みやすかった。お人好しでなんとなく周りに流されているばかりのような横道世之介。しかし彼の周りの人々は、彼の存在にどこか救われ、彼に会えたことを運がよかったと感じている。世之介の大学入学後1年の出来事を追いながら、自身の大学時代を思い出していた。世之介のような仲間がいたような気がする。友人一平夫婦の娘智世の「世」は世之介から取ったのか?彼女はその後どうしたのだろう。20年後の世之介の結末がわかり切ない。世之介のように、暮らしを切り取った温かい写真を撮りたいと思った。
読了日:02月22日 著者:吉田 修一
十日えびす
久々に読む宇江佐真理さん。読みやすい文章で江戸の暮らしがしっとりと目に浮かぶ。後家となった八重とその継子たちや隣近所の人々との物語。ただ温かい人情噺ではなく、最悪の隣人お熊登場。意地と怒りで武装し周りに迷惑をかける、こういう人は現代にもいるのかもしれない。それを巧くいなす八重に対し、お熊が改心しないのはむしろリアルだ。八重と継子のおみち・利三郎、終盤かかわった別のおみち夫婦、彼らの健気さがむしろ光る。降りかかる出来事に、その都度折り合いをつけていく八重の生き方には見習いたいところが多い。
読了日:02月24日 著者:宇江佐 真理
流星シネマ
何事もなく穏やかに流れる時間の中、太郎とゴー君の胸には、共に川で流され二人の前から突然消えてしまったアキヤマ君への思いが静かに残る。周りの人々との緩やかなつながりと、鯨・オーケストラ・廃屋工場の再生、そして編集された8ミリで見る町の風景とアキヤマ君の映像で、二人の思いは昇華されたのだろうか。「空っぽが大きければ大きいほど、希望のキャパシティも大きくなる」そうあってほしい。静かな流れに身を任せながら続編「屋根裏のチェリー」へ。
読了日:02月27日 著者:吉田篤弘
重力ピエロ
母親がレイプされたことにより生まれた弟、春。皆が重いものを抱えながらも、幸せな一家だったと思う。父がいい。母もいい。黒澤やカカシの登場もうれしかった。遺伝子など難解な部分も多かったが、映画で見てみたいと思う。
読了日:02月28日 著者:伊坂 幸太郎