現金よりカードで、様々な問い合わせや申し込みもネットから、
スーパーのレジも自分で読み取り・・今のところなんとか追いついているけれど、
さぁ、これから年を重ねてどこまでついていかれるのか。
自然災害や疫病、富士山さえいつ噴火するのやら・・
大きな変革や混迷の時期を人々はどうやって乗り越えたのだろう?
産業革命時のイギリスの人々は?
いや、それよりももっと身近な幕末や明治維新の人々は戸惑っただろうなぁ・・
そんなことから歴史に目が向きました。好きでもなかったのに。
年を取ると歴史好きになる、その証拠か?
本も、ついつい江戸時代の将軍たちや施政に関するものが増えつつあります。
昨日も1冊、そして今日はAmazonから保科正之に関する本が届きます。
何かヒントになるといいのですが、まずはおもしろいです。
読んだ本の数:11
徳川将軍家十五代のカルテ (新潮新書)
医師でもある著者の目から見た徳川将軍たちの心身にまつわる話でおもしろかった。死亡直後の身長を測って作られた等身大の位牌が残されているのは初耳だった。身分は良いが身体的にはあまり丈夫とは言えない正室、それに引き換え健康で子孫を増やしそうな側室も併せて、将軍家各々の没年齢が記されているのもおもしろかった。将軍それぞれがなしえた業績を見ると、始祖家康、様々な仕組みを設けた吉宗、終焉の慶喜以外はどちらかと言うと徳川家存続の飾り物のようだった。将軍ではないが、徳川宗春、保科正之のことをもっと知りたいと思う。
読了日:04月02日 著者:篠田 達明
その扉をたたく音
経済的に恵まれた家に育ち、学校を出てから働かずに7年が過ぎた宮路。老人ホームの老人たちと、サックスのうまい介護士渡部と出会ったことで止まっていた時間が不器用に動き出す。うまく行き過ぎの感は否めないが、宮路の中に眠っていた豊かな人間性にこちらまで喚起される。勤務先の老人ホームと重なる。介護士も、また同時に、入居者も大変だ。「あと少し、もう少し」の中学生渡部君に再会できたのが嬉しい。太田君は「君が夏を走らせる」で登場済みだが、他の駅伝メンバーのその後も読んでみたくなった。
読了日:04月03日 著者:瀬尾 まいこ
a piece of cake
12冊の小さな本が詰まった本。クラフト・エヴィング商會(以下CE商會)を知らない人に対しては説明が難しいし、CE商會と膚の合わない人には「なに、これ?」な本だと思う。CE 商會大好きな私にはうっとりするほど楽しくて、ずっと枕元に置いて眺めていたいようなかわいい本。色も味も異なる小さなケーキが12個集まって、ホールケーキになったみたい。小説・イラスト・写真集・レシピ・楽譜・・どれもこれもおしゃれで心地よいが「誤字標本箱」がなんとも楽しい。「ゆっくり犬」もいいなぁ!ほら、わからない人にはわからない。
読了日:04月04日 著者:吉田 浩美
明治女が教えてくれたプライドのある生き方
家老の娘・藩士の娘・文士の娘・・・幕末や明治時代を生きた女性たちの様々な人生を描いた本。著者の想像による部分も多く見られたのは残念だが、それだけに物語としてもおもしろく読み進めることができた。たおやかに見える外見に反し、幼い頃からの躾による強い意志を持ち続け、家庭内や夫の仕事、ひいては社会に大きな影響を与えてきた先人たち。状況が変わろうとも顔を挙げてとにかく働く。その姿勢が共通している。本書をとっかかりに、新島八重・大山捨松の伝記、幸田文・沢村貞子の著書にも触れたいと思った。
読了日:04月07日 著者:石川 真理子
夜叉桜 (光文社時代小説文庫)
まだほんの2冊目のあさのあつこ作品、「弥勒シリーズ」2作目にして心奪われてしまった。読み親しんだ宮部みゆきの人情味ある捕物や怪異物とも、宇江佐真理の心に染みる市井物とも、高田都の女性の成長奮闘物とも一線を画したこの魅力はなんだろう?人の心を持たないのかと思うような同心信次郎、武士であった暗い過去から逃れ商人として生きようとする遠野屋清之介、ふたりの孤独な心の闇から目が離せない。ただひとりまっとうな岡っ引き伊佐治を頼りに、とても面白いが人間の怖さを秘めたこの物語を読み進めたいと思う。
読了日:04月10日 著者:あさの あつこ
木練柿 (光文社時代小説文庫)
前2作、男ふたりの心に潜む闇にヒリヒリしたのと違い、今作は清之介の妻おりん、その母おしのの心に触れ、切ないながらも温もりが感じられた。頭の中ですっかり全員のキャスティングがされ(ちなみに信次郎は森山未來)まるで映画を見るように鮮やかに話が進む。続く4作目以降も手元にあるのだが、あまりにのめり込みすぎて疲れてしまった。1、2冊、気分転換を挟み、この弥勒シリーズに戻りたいと思う。
読了日:04月12日 著者:あさの あつこ
犬がいた季節
迷い犬コーシローを世話する高校生たちの12年の物語。自分自身や家庭の悩みなど、彼らのもどかしくもみずみずしい思いがあふれている。昭和・平成の出来事はともかく、懐かしい曲のタイトルを列挙するのはノスタルジーに訴えるズルじゃないの!と思いながら、まんまと引き込まれ、メロディを思い浮かべながら読んでしまった。ラスト、登場した高校生たちの思うところにたどり着けた姿にも、主人公たちの淡い初恋が実るのもできすぎではないかとも思う。それなのにそんな結末がうれしくてたまらない。胸が熱くなる心地よい読後感だった。
読了日:04月18日 著者:伊吹 有喜
東雲の途 (光文社時代小説文庫)
武士から商人になろうと懸命だった遠野屋清之介が、暗い過去を持つ生国へと向かう。施政者の争いではなく民の安泰を求め、さらには商人としての目も抜かりない清之介は見事。冷酷な皮肉屋信次郎の不在が爽やかであり、また淋しくもあったのがおかしい。ひとつ大きな山を越え、江戸での新たな難事件が待っていることだろう。
読了日:04月21日 著者:あさの あつこ
バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)
5股をかけた女性たちに別れを告げ、怪物女繭美によって星野はどこへ連れ去られるのか?結末をはっきり示した作品も悪くはないが、〈あのバス〉はじめ繭美の正体もわからぬまま終わるところは、想像力を駆使して楽しむことができる。10回目のキックでエンジンがかかったのでは?繭美は着ぐるみで実はスレンダーな美女だったり!
読了日:04月24日 著者:伊坂 幸太郎
僕らのご飯は明日で待ってる
自身の病気、大切な人の死、まわりと一切関わらず殻に閉じ籠ってしまいたいときはあるだろう。でも、どんな状況でも、生きている者はエネルギーとなる「ごはん」を食べなくてはならない。「生きる」ということを「ごはん」という言葉に託したようなタイトルがいい。「食事」ではない「ごはん」だ。
読了日:04月26日 著者:瀬尾 まいこ
「生類憐みの令」で悪名高い将軍綱吉は、同時に武断政治から文治政治へと転換点を築いた人でもあった。史実をもとにした著者の想像かもしれないが、綱吉と家臣堀田正俊や柳沢吉安らとの信頼関係、妻信子や母桂昌院との情愛は読んでいても胸の震える場面も多かった。大火、大地震、富士山噴火、赤痢・麻疹などの疫病の流行、赤穂浪士の討ち入りまで治めねばならない凶事が続き、悪運の将軍でもあった。綱吉のイメージが変わり、好感度が上がる。「今」と重なるようなこの時代、将軍への苦言も辞さぬ家老や細事に行き届く側用人の存在がうらやましい。
読了日:04月30日 著者:朝井 まかて