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2018年9月に読んだ本

読んだ本の数:4
読んだページ数:1507

今月は長編が多く冊数は少なかったが、読み応えのある本ばかりだった。
読書の秋、10月は…読みたい本が目白押しで困る。


しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)感想
二つ目の落語家今昔亭三つ葉のもとに、ひょんなことで集まった男3人女1人。年齢層もバラバラだが、そろってコミュニケーション能力に欠け問題を抱えている。自身も落語への自信を無くしかけている三つ葉の元、「まんじゅうこわい」の稽古をはじめるが・・・。文章の切れがよく、落語を思わせる洒落た言い回しも多く楽しめたのだが、その割に読むのに時間を要した。しかし、最後の発表会の場面は圧巻!大阪弁の小学生村林優が大人たちの数倍かっこいい!不器用でも、口下手でも、寄り道しながらでもいいじゃない。そんな気持ちになった。
読了日:09月13日 著者:佐藤 多佳子


長いお別れ (文春文庫)長いお別れ (文春文庫)感想
87才の母は、今はかなりしっかりしているが、認知症になる日がそう遠くなく来るかもしれない。いや、それどころか夫が、もしかしたら私自身が。この本を読みながら、家族が認知症になったときの昼夜を問わぬ大変な暮らしを思い描いた。その時に、できることなら思い出したい。これは「長いお別れ」の愛しい時間なのだと。
読了日:09月20日 著者:中島 京子




この世の春 上この世の春 上感想
時代小説の中の多重人格という意外な発想で、ミステリー要素も多く、大変引き込まれた。押込めにあった藩主重興はミステリアスだが、主人公の多紀、元家老石野、医師白田、おごう・お鈴・寒吉ら奉公人が魅力的な人物ばかりで、暗澹とした話しながら心救われる。白田医師の師の「気鬱・錯乱・乱心にもそれを引き起こす体の方の原因があり、いつの日か必ず解明されるであろう」という言葉が、現代にも通じるようで印象的だった。
読了日:09月24日 著者:宮部 みゆき



この世の春 下この世の春 下感想
長年の怨念が生んだ恐ろしい悲劇だったが、最後に希望に満ちた終わり方でよかった。しかし、その影で、すべてを知りながら表だった動きのとれなかった重興の母美福院や、正室由衣の方が耐えてきた苦しみ悲しみが痛々しい。由衣の方の愛らしさには、物語の中とはいえ、善きところに縁付きお幸せにと願わずにはいられない。琴音・お鈴・金一、幼い者たちの健気さ明るさが、暗いテーマに明かりを差してくれた。読みごたえがあった。
読了日:09月30日 著者:宮部 みゆき