先週の金曜日、1人の生徒が塾を辞めました。
30分遅刻してきた彼は今にも泣き出しそうな顔で、声も出ないありさま。
勉強が終わって他の子がいなくなるのを待って「塾を辞める。」とぽつりと。
聞けば、お母さんに叱られ「そんなに勉強する気がないならば塾なんか辞めてしまえ!」と、
もめた状態でやって来たようです。
確かに彼は最近勉強する気がない。というか何もする気がない。学校も休みがち。
お母さんの気持ちもよくわかるし、ご家庭での決定は尊重します。
勉強する気がない子、やる気がない子は、最近は残念ながらぜんぜん珍しいことではなく、
その日も勉強の時間を割いて生徒達に本気でそんな話していたところでした。
単語すら覚えようとしない子どもたちに、昨日も新しい方式のプリントを考えました。
昨日はそれで少し手応えがあったような気がします。
それで、「辞める」と言った子ですが、私は1週間お母さんからの連絡を待ちましたがなにも・・・。
中学生は子供です。本人任せではなく、親の登場が必要な年齢だと思います。
「昔は良かった」は禁句と思っていますが、ことあるごとに相談してくれたお母さん達が懐かしい!
勉強以外にも、「先生、部屋からアダルト雑誌が出てきました!どうしましょう?」なんて。
「一緒にこの子をいい子にしましょう!」そんな気持ちでつながっていた気がします。
勉強中の彼のあまりにもつらそうな顔に、
「私に言うのが気になって沈んでたの?」と聞くと、そうだと。
おかあさん、その気詰まり、辛さを、子供1人に押しつけていませんか?
「自分のことは自分で」というのとはちょっと違うような気がします。
親も子も、人の心がすべて変わってきてしまったかと思われるこのごろ。
こういう時代こそ、自分をしっかり持っていなければと自分に言い聞かせています。
どんなにお手軽な時代になっても、私は「私」でいようと思います。
「馬を水飲み場に連れて行けても、水を飲ませることはできない。」
でも、渇いた口に一滴でも水を含ませ、そののどごしの心地よさを知ってほしい。
30年近く前、「先生、英語っておもしろいって初めて思ったよ!」そう言ってくれた、
定時制高校2年生の女生徒のはにかんだような笑顔を改めて思い起こしています。