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2023年5月に読んだ本

今月は色々異なる種類の本を楽しむことができました。新聞のコラムの記事に載っていた本、ラジオで耳にした本、ブログの友達が教えてくれた本・・読書は孤独な作業のようで、ここでもコミュニケーションの大切さを感じます。これからも本とのいい出会いがありますように。


読んだ本の数:11


私はスカーレット (2) (小学館文庫)私はスカーレット (2)
舞台はアトランタに移り、子持ち未亡人となったスカーレットだが、気位の高さとアシュレへの思いは変わらない。崇高で善良で健気なメラニーもそのままだ。このふたりの対比がおもしろい。南軍が苦戦を強いられる中、レット・バトラーがいよいよ活躍(?)するこれからを思い出しながら3巻へ。
読了日:05月05日 著者:林 真理子


ガリヴァーの帽子 (文春文庫)ガリヴァーの帽子
著者の作品の8割は本棚に取り揃え、ぽつりぽつりと読んでいる。残り少なくなってしまったが、いつもながら静かな夜に読む本として心地よい。「イヤリング」「手の震えるギャルソン」の登場人物のさりげない優しさがいい。そしてなにより「かくかくしかじか・・」の発想が見事。シャンパンの泡ひとつひとつがこんなことを考えている、想像しただけで楽しくなる。短編集で訳のわかりにくいものもあったが、それもまた吉田篤弘さんの世界かと・・。
読了日:05月08日 著者:吉田 篤弘


私はスカーレット (3) (小学館文庫)私はスカーレット (3)
高慢ちきで自信満々、自分ファーストのスカーレットがこの巻ではなんと魅力的なことか。不平不満を盛大に漏らしながらも、メラニーの出産を助け、頼りにならない一行を従えてタラを目指す。本作のクライマックスのひとつだ。今とは隔世の感もあるが、戦争とその悲惨さの表現も切ない。何もかも失ったタラでのスカーレットの活躍、レットとのこれから、あやふやに思い出しながら4巻へ気が急く。
読了日:05月10日 著者:林 真理子


私はスカーレット (4) (小学館文庫 は 5-10)私はスカーレット (4)
スカーレットの逞しさに感服。部屋働きだった黒人奴隷でさえ、誇りを持って「野良仕事はしない」と言い張る。先頭に立って綿畑に立つスカーレットの思いはいかばかりだったか。魅力的だが実際的な生活力のないアシュレと、生命力溢れるスカーレットは、やはり無理な組合わせだったのだろうと思う。スカーレットと同じ匂いのするレット・バトラーが再び登場する5巻が待ち遠しい。
読了日:05月13日 著者:林 真理子


裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書)裁判官の爆笑お言葉集
「爆笑」の文字は余計だったと思うが、とてもおもしろかった。怒り・憤り・励ましなど判決文からはみ出た裁判官の様々な言葉は、人間味があり好感が持てる。「爆笑」よりも涙の出る言葉も多々あり、裁判自体への興味もわいた。「事実は小説より奇なり」ではないが、物語の掌編集を読み終えたような気分だ。
読了日:05月14日 著者:長嶺 超輝


今日はいい天気ですね。 れんげ荘物語今日はいい天気ですね。 れんげ荘物語
7作目となり、働かず月10万円で暮らすキョウコの日常に、忘れていたがこの人は高価なファッションで身を包み一流企業でバリバリ働いていた人だったっけ。上昇志向ばかり強く支配的な母のもとでの過去であり、そこから脱却した今の暮らしだと、キョウコが久しぶりに街を訪ねた場面で思い出した。蓄えあっての今の暮らしとは思いつつ、お財布事情が気になるところ。よき隣人、優しい兄夫婦、そしてなにより愛しい犬猫に癒される暮らしが続きますように。このシリーズでこれからもそんな暮らしを覗けますように。
読了日:05月19日 著者:群 ようこ


父と暮せば (新潮文庫)父と暮せば
作者の前口上にまず、ハッとした。「原爆を被害者意識からではなく、世界54億の人間の一人として『知らないふりをする』のは罪深いことだ。」本編は原爆で亡くなった父と残された娘だけが登場する芝居のかたちを取っている。太陽2つ分の熱と爆風に見舞われた中、生き残ったことに罪悪感を持ち、自分は幸せになってはいけないと思う娘。その娘を諭し励ましながらも、飄々とした父の風情が読者をも救う。今こそ多くの人に勧めたい良書に出会えた。
読了日:05月21日 著者:井上 ひさし


水のかたち 下 (集英社文庫)水のかたち 下
チェット・ベイカーの「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を聞きながら最後の部分を読んだ。まさに「グールド」にいる気分。音楽も本も新しいいいものはどんどん出てくる。しかし、こういう音楽を聞く、そして宮本輝さんのような本を読む、そんな静かな時間をこれからも大切にしたいと思った。「自分を、自分以上のものにも、自分以下のものにも見せようとしない」という沙知代の言葉が光る。北朝鮮からの逃避行は、宮本さんが実際に接した人の実話であることをあとがきで知り驚愕し、物語が一層重厚なものに感じられた。
読了日:05月24日 著者:宮本 輝


春にして君を離れ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)春にして君を離れ
アガサ・クリスティ作だが、殺人事件など起きない、強いて言えば心のミステリー。栗本薫さんの解説にあるように、この作品に「哀しみ」を感じる人と感じない人とに分かれると思う。ひとりよがりの価値観でまわりを操作しようとする妻ジョーンと、抗うことを放棄してしまった夫ロドニー。私の母はジョーンであり私はロドニー、そして母の呪縛が少し遠くなってから、私自身が時々ジョーン。いやはや。残りの人生、ブランチやレスリー、そして公爵夫人のように暮らしていきたいものだ。
読了日:05月27日 著者:アガサ・クリスティー


見知らぬ妻へ (光文社文庫)見知らぬ妻へ
アウトローな人々の中の哀感が、切ないながら静かな輝きを放っている作品が多かった。それ以外の「かくれんぼ」「金の鎖」「うたかた」では過去と今をどう折り合いをつけるかが主眼。中でも、幸せな家庭を築き上げた団地で、自然な最期を選ぶ女性の思いは、「死」とは裏腹に暖かいものを感じた。団地の興亡、絵画館前の銀杏並木、ビートルズの「THIS BOY」、中山競馬場(遠足で行った)など、どれも懐かしい。作者と同時代同地域で生まれ育ったことを所々で感じた。
読了日:05月30日 著者:浅田 次郎


成熟スイッチ (講談社現代新書)成熟スイッチ

林さんと親しい中瀬ゆかりさんが絶賛していたので、私も「成熟スイッチ」をオンにしたいものと購入。しかし、著者と同じような環境ならば参考になったかなと思う場面が多かった。それでも相変わらずお元気な林さんの語りは楽しかった。「おもしろがって生きる」「優先順位をつけて時間泥棒を排除」「読書は快楽」など同感。ほぼ同い年。「もはやおばさんではなくおばあ・・」に一番納得か。久しぶりに有吉佐和子さんを読みたくなった。
読了日:05月30日 著者:林 真理子