どんなときもいつも寄り添ってくれる友、本がそんな風に思えた4月でした。
読んだ本の数:5水のかたち
もらった鼠志野の薄茶茶碗が骨董品として価値あるもので3000万円で売れてしまう。おまけに、もらった手文庫の中から戦時中の貴重な記録も見つかる。何も知らない持ち主を探すが見つからず、記録の中の人物の消息も知れない。それらを狙う怪しげな女まで現れ・・。著者の丁寧な情景描写に心静かな読書だったが、こうして振り返ってみるとなんとハラハラドキドキな展開か!ビル・エヴァンスをBGMに下巻へと続く。
読了日:04月07日 著者:宮本 輝
おやじはニーチェ
「認知症」という病気はないそうだ。「認知障害」の方に落ち着いてくれた方がよかったように思う。いずれにせよ、家族の戸惑いや困難は大変なものだ。その中でも著者は父の言動になにか哲学的なものを感じ、父が口にする言葉の根本的な意味に想いを馳せる。時にユーモラスだが、さて、自分だったらそういう心持ちで接することができるだろうか。人間の存在や「時」の記述など、哲学はやはり難しい。矢部太郎さんの「ボケ日和」を読んでみようか・・。
読了日:04月13日 著者:髙橋 秀実
(みつばの郵便屋さん
なんと誠実で心暖かい郵便配達員さん!数冊読んだ著者の他作品と同じく、町の人々や配達員仲間もいい人ばかり。それがイヤミでもウソっぽくもなく読ませてくれるのが、小野寺さんの魅力だなと思う。こんな人ばかりだったら住みやすい世の中になるだろうな。そして、同時に「世の中に、ぼくがかなわない人は多い」確かに私もそう思う。
読了日:04月15日 著者:小野寺 史宜
朝星夜星の感想
明治初期、日本で初の西洋料理店およびホテルを開いた草野丈吉・ゆき夫婦の物語。五代友厚・陸奥宗光・後藤象二郎・岩崎弥太郎、「西洋と対等に付き合える国に」という皆の想いが丈吉夫婦の背中を押す。丈吉も恩人たちもこの世を去った後、ホテルの賑わいに彼らの姿を思い浮かべる最後のシーンがいい。そして年老いたゆきの周りを賑やかす、丈吉の妾トリオ松竹梅もいい。我が道を突き進む丈吉はさぞ魅力的な人だったのだろう。時代の高揚感も感じられる良い物語だった。朝ドラによさそう。頭の中で描いた配役、ゆきは久保田磨希さんだった。
読了日:04月26日 著者:朝井 まかて
私はスカーレット (1)
若い時にワクワクしながら一気に読んだ「風と共に去りぬ」。再読したいと思いながら、あの500ページ×5巻を読み通すパワーが今、あるのかと思っていたところに本書を知った。林真理子さんの意訳でスカーレット自身が語っている。これは読みやすい。しかも短い。それなのにあの頃のワクワクや「もう!スカーレットってば!」という思いがよみがえる。忘れかけている細部も楽しみに既刊の第4巻まで取り揃えた。
読了日:04月30日 著者:林 真理子