「言葉」に関する本が好きです。
最近見つけた本。「目でみることば」ちょうど10年前の発行でした。
1,2,3とシリーズで購入してしまいました。
2,3は表紙に答えが書いてありますが、一番上の写真はどんな言葉でしょう?
こたえは「ひっぱりだこ」。
タコの干物を作るとき、このようにひっぱって風に当てるのだそうです。
そこからうまれた「ひっぱりだこ」。「磔」の別名という怖い解説も。
知っているようで知らなかった語源、いや、その前に正しい意味もわかります。
写真が時に美しく、時に愛らしく、時に鋭利で、写真集としても楽しめます。
1巻の圧巻は「灯台もと暗し」この灯台は海を照らす「灯台」ではなく、
ろうそくを立てる「灯台」「燭台」のことだとはじめて知りました。
暗闇に立つ「燭台」の写真の神秘的で美しいこと!
言葉の世界は奥が深い!と感心したら、読み返したい本が数冊。
三省堂の国語辞典編集者飯間浩明さんの「小説の言葉尻をとらえてみた」。
これもとてもおもしろい本です。
2000年代のよく知られる小説の中に著者は用例採集に入り込みます。
登場人物と会話をする例もありましたが、だいたいはその傍らで観察します。
「これは!」という言葉を見つけるとそれを深く考察する。
「誤用」と言ってしまえるような言葉ばかりなのに、
言葉好きな著者の目は愛情深く、過去の使用例を探し、
作者がその言葉を選んだストーリー状況を読み取ろうとします。
15の小説が取り上げられ、既読の6作品は一層好きになりました。
未読の2作品「チッチと子」(石田衣良)「横道世之介」(吉田修一)
をさっそく購入、読み始めました。
言葉と言ったら、私は、この人を外せません。
知る人ぞ知る、ほとんどの人は知らない、吉田篤弘さん、
またの名を「クラフト・エヴィング商會」
「ないものあります」好きすぎて単行本と文庫本、両方持っています。
こちらは写真に撮れない、姿のないものを、
イラストと解説、使用上の注意など、商品カタログとして掲載しています。
たとえば「左うちわ」「先輩風」「相槌」「思う壺」「助け船」「地獄耳」
「おかんむり」「語り草」「冥土の土産」「自分を上げる棚」・・
このウィットを「わかる!」と言う人とは友達になれそうな気がします。
もうひとつ吉田篤弘さんの「うかんむりのこども」。
これは「言葉」と言うより「漢字」に関するエッセイ。
「字」の部首は「うかんむり」でなく「子」でした。そんなことはどうでもよく・・
「犬」と「戌」と「狗」が3頭で話し合ったり、
「僕」「俺」には「人」が入っていて人間くさいが、
「私」にはなく妙にかしこまって正座したイメージになる。
そこで「禾」を「イ」に差し替えると「仏」になってしまう。
文末に、(笑)(怒)(悲)などを付け加える人がいるが、(槍)はどうだろう。
(雨が降ろうが、槍が降ろうが)「絶対に!」と言う意味で。
そんな軽く楽しい、でもどこか「なるほど!」なエッセイ集です。
現実の世界から、しばしば小説の世界をさまよい、
そして「言葉」の世界を覗き回る、楽しいなぁ!