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2022年1月に読んだ本

今年最初の読書。「お腹召しませ」「アルジャーノンに花束を」に人間らしい暮らしとはと考えさせられ、「月とコーヒー」にいつもながらほんわかとさせられ、「砂漠」でいくつかの心に残る言葉に出会えました。「人の憂いがわかる」そんな人間でいたいと思いました。

 

読んだ本の数:7


新装版-お腹召しませ (中公文庫)新装版-お腹召しませ
幕末の武士たちの矜持や建前、それに対する人間らしい思いが見事に交差する短編6編。戦がなくなり出番のない武士たちの戸惑いと悲哀が伝わってくる。そんなにうまくいくかなと思う小説は多いが、浅田次郎さんの小説はそうなってくれてよかったとどの話もホッとする。本編の前後の語りも、まるで落語のマクラやサゲのようで、心地よくつながっている。浅田次郎左衛門の登場には笑ってしまい、「女敵討」にはほんのりと胸が暖まった。いつもながら、浅田さん、うまいなぁ!
読了日:01月06日 著者:浅田 次郎


かぞえきれない星の、その次の星かぞえきれない星の、その次の星
コロナを背景に、いじめ・身近な人の死・国際問題にいたるまで、哀しくも温かい短編集。コロナ収束の後に読んだならばまた違うと思うのだが、感染蔓延の今、切なさがどうしても際立ってしまう。「明るくて元気なさみしさって、世の中にはたくさんあるんだ」という、多分著者本人がモデルのおじさんの言葉が印象的だ。おじさんがひとつひとつの物語をていねいに紡いでいくように、1日1日を大切に送っていきたいと思った。小中学生の傍らに置いておきたい1冊だ。
読了日:01月11日 著者:重松 清


月とコーヒー (文芸書)月とコーヒー
2年前、遠方だがしばしば会っていた友人に、読んだばかりのこの本を貸した。それからコロナの蔓延に伴って彼女とは会えていない。どうしても読みたくなり図書館で借りて再読した。1度目もとても気に入った短編集だったが、2度目のこの満足感?幸福感?1度目とはまた違った作品にも大いに惹かれた。「バナナ会議」「3人の年老いた泥棒」心地よく納得してしまう。コロナが収まり友と再会して本が返ってきたら、3度目が楽しみになった。ちなみに最初に読んだ日から、手紙は万年筆を使い青いインクで書いている。
読了日:01月12日 著者:吉田 篤弘


満月珈琲店の星詠み (文春文庫)満月珈琲店の星詠み
イラストに惹かれながらも、どうせ夢見がちな少女趣味な本と思って読み始めた。そんな予想よりは遙かにおもしろく、含蓄のある言葉もあり一気に読んでしまった。登場人物がつながっているのも楽しく、最後は皆よい方向へ向かっていくのもありきたりではあるが嬉しい。若い女性が読んだら、心にしみ元気づけられるのかもしれない。あまり知識のない占星術、自分の星を知りたいと思ったが結構難しそうであきらめた。
読了日:01月18日 著者:望月 麻衣


アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)アルジャーノンに花束を〔新版〕
新版で再読。手術によってチャーリーの知能が向上していく過程、またそれを失っていく過程の描写が生々しく切なかった。知能の高さと人格は伴うものでも、またそれとは逆に相反するものでもないと思う。しかし1年足らずの間にチャーリーに起きた変化に、その両者の関係をあらためて考えさせられる。パン屋の仲間の反応が人間らしい。最後のチャーリーの言葉「アルジャーノンのお墓に花束を供えてやって」に胸が詰まった。そして「訳者あとがき」でダニエル・キースがこの本を書いたきっかけやその過程を知り、一層胸が熱くなった。名作だと思う。
読了日:01月20日 著者:ダニエル・キイス


砂漠 (実業之日本社文庫)砂漠

入学後1年の話かと思いきや、4年間の四季のエピソードだと途中で判明した。5人の個性豊かな大学生の日常、そして非日常の出来事。そのような事件は起きなかったが、それでも様々なことのあった自身の学生時代を思い出しながら読んだ。確かに、あれは砂漠へ出る前のモラトリアムな状況でこその経験だった。「過去を懐かしんでも戻りたいと願って生きてはいけない」「優しさとは人の憂いをわかること」いくつかの作品のモデルになった伊坂さんの恩師磯崎先生の言葉が印象に残る。「(よい)人間関係が最大の贅沢」その言葉にふさわしい5人だった。
読了日:01月27日 著者:伊坂 幸太郎


魂手形 三島屋変調百物語七之続魂手形 三島屋変調百物語七之続
ずっと読み続けてきた「三島屋シリーズ」今回も最初の2話は、とても切なく哀しく、新米の聞き手富次郎が案じられる。3話目の鯔背な爺さんの描写は、なんとも魅力的でお目にかかりたいようだ。その語りも軽妙で落語か昔話のように引き込まれる。成仏できない魂の案内人、必要かもしれないと思ってしまう。そして、なさぬ仲のおっかさんお竹の強く暖かいこと!口は悪いがまさに竹を割ったよう。最後に来て、おちかに絡む不穏な流れが。どうか、おちかと赤子をお守りくださいと、神様、いや、宮部みゆきさんにお祈りしたい。
読了日:01月31日 著者:宮部 みゆき