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2021年10月に読んだ本

清少納言と定子中宮の間の主従の身分を超えた強いつながりは何だったのだろうと、読みやすそうな本を読んでみました。「打てば響く」そんな言葉が頭に浮かびました。自分の考えや感情を、誤差少なく理解してくれる、それ以前に同じ物事に関心があり、価値観も似通っている。そういう相手に巡り会えて、二人は互いに惹かれたのだと思いました。女子会と一緒?(^_^)

 

読んだ本の数:8


平安ガールフレンズ平安ガールフレンズ
平安時代の5人の女流作家を現代風に表すと・・「誉められちゃった!」「モテちゃった!」とキャピキャピの清少納言、控えめな態度と裏腹に妄想逞しい紫式部、夫への嫉妬心に燃え息子を溺愛する藤原道綱母文学少女で目眩く恋を夢見る菅原孝標女、モテモテで恋多き和泉式部。さて、だれと女友達になりたいか?清少納言が楽しそうだけれど、たまには鼻につくかもしれない。紫式部とは意外と話が合うかもしれない。楽しく読みながら、遠かった古典の世界が少し近づいた気がした。
読了日:10月07日 著者:酒井 順子


百年と一日 (単行本)百年と一日
なんなのだろう、この本は?あっという間に「それから10年たった」「20年たった」と時が飛ぶ。短い文で状況が鮮やかに浮かんで、ふと懐かしさを感じたり、その逆にさっぱり入り込めなかったり。そうか!路上で無作為にインタビューし、これまでの来し方を語ってもらったらこんな感じなのか。やたらと長いタイトルの33の物語が詰まった不思議な本だった。
読了日:10月09日 著者:柴崎 友香


むかし・あけぼの 上 小説枕草子 (文春文庫)むかし・あけぼの 上 小説枕草子
清少納言の生涯と「枕草子」の誕生を描いた小説は、読みやすくまるでテレビドラマを見るように情景が浮かんだ。宮仕えする女性は、今で言うキャリア・ウーマンで、女は家を守るのが本来の姿とされた時代、「はねっかえり」とも見なされた。歯に衣着せぬ清少納言のもの言いは納得することが多く、定子中宮のもと、華やかで生き生きとしたサロンの仲間に加わって語り合いたいようだった。美しく聡明な定子中宮の描写には清少納言の深い愛情が感じられた。また、さまざまな女房たちの姿が現代の女性につながるようにも思え楽しかった。
読了日:10月18日 著者:田辺 聖子


むかし・あけぼの 下 小説枕草子 (文春文庫)むかし・あけぼの 下 小説枕草子
道長一族は権力の座から遠ざかり、やがて定子中宮も命果ててしまう。上巻ではウキウキ暮らした清少納言だが、下巻は切ない時代が始まった。しかし、主従関係を超えて清少納言中宮を結びつけたものは生涯変わらなかった。感性が合い、打てば響くような相手を身近に持った二人は幸せな人生と思う。また、いがみ合う夫則光は、下卑た中にも人として憎めない親しみと勢いがあり、清少納言とは良いコンビだったと思う。60代になった最後まで「はねっかえり」精神旺盛な清少納言が魅力的に描かれた小説だった。
読了日:10月18日 著者:田辺 聖子


あんなに あんなにあんなに あんなに
ホント、そのとおり!あんなにかわいかったのに、あんなに何もできなかったのに、それが今は・・。子供の成長がうれしくもあり、ちょっぴり淋しくもあり。「成長」と言っても、その息子たちも今やアラフォー!だから当然のことながら、私も・・あんなに若かったのに!(^^;)
読了日:10月22日 著者:ヨシタケシンスケ


グラスホッパー (角川文庫)グラスホッパー
登場するのは殺し屋ばかり、死に至るまでの目を覆いたくなるようなシーンもあるのに、軽妙でワクワクするほどおもしろいのはいつもながらの伊坂幸太郎。殺し屋たちの言葉が意外と世の中の核心をついているのではと思えたり、どの殺し屋にも愛着を覚えたり。槿(アサガオ)の「劇団」で構成された家族に惹かれもっと見ていたいようだった。殺し屋シリーズ3作目の「AX」から読んでしまったが、残る「マリアビートル」に直行するか・・気になりながらその厚さにちょっと迷っている。
読了日:10月23日 著者:伊坂 幸太郎


マリアビートル (角川文庫)マリアビートル
おもしろかった!木村夫妻は強くかっこいい!運は悪いが「悪」の匂いの全くしない七尾、文学や「機関車トーマス」を心から愛する蜜柑檸檬。殺し屋たちが憎めなくて親しみがわいてしまう。「グラスホッパー」に続く鈴木の幸せは願わずにはいられない。そしてなにより王子の胸の悪くなるような憎らしさ。夢中になって物語を追ったが「なぜ人を殺していけないの」と問う王子に対する鈴木や木村父の言葉には考えさせられた。操られないように生きなければ。
読了日:10月28日 著者:伊坂 幸太郎


新装版 命の器 (講談社文庫)新装版 命の器
エッセイはあまり得意ではないかなと読み始めたが、宮本輝さんの豊かな情景描写は小説の時と同様で、興味深く読むことができた。「競馬で最後の勝敗を決めるのは馬の能力でなく騎手の気迫。その気迫は『勝つ』という確信から生まれる。」「死ぬことはこの世から消えてなくなることではなく、その人間が生きていたという事実の証明・・消滅ではなく完成だ。」などの言葉が印象深かった。「桜の木にバラの花を咲かせようとしない。」と言う言葉も。宮本輝さんが35歳の時のエッセイであることに驚く。年齢にそぐわない老熟を感じた。
読了日:10月31日 著者:宮本 輝