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2021年7月に読んだ本

増え続けるコロナ感染の脅威、連日の猛暑、本来なら心弾むはずがすっかり「夏ごもり」の季節になってしまいました。そんな中、本を読む楽しみがあってよかった!買いだめしている吉田篤弘作品はもちろん、「弥勒シリーズ」もぽつりぽつりと読み続けるのが楽しいです。

「はじめての文学シリーズ」作者自身が若者向けに自身の作品を選んだ短編集。以前読んだある大人気作家の1冊は予想通り「私は肌が合わない」という感想でした。「食わず嫌い」でなく「一応食ってみた」のですが。(^^ゞ

では、今度は好きな作家から。私にとって☆5つの宮部みゆき浅田次郎から読み始めました。次は☆4つの小川洋子宮本輝を読んでみようかな。そして☆3つの重松清・・夏になると上質なミステリーやSFも読んでみたくなります。ああ!本があってよかった!

 

読んだ本の数:9

なにごともなく、晴天。 (金曜日の本)なにごともなく、晴天。 (金曜日の本)
「つむじ風食堂」には、どうということはないがどこか惹かれる男たちがたくさん登場する。こちらは高架下で店を営んだりその関係者だったり、登場するのはほぼ女たち。それが皆、わけありなようで実は魅力的な女性ばかりだ。「じつはね」と明かす秘密もほほえましい内容ばかり。淡々とした彼女たちの思惑や営みに、こちらまで心がしっとりとなごむ。ショートケーキだけがポツンと描かれた白い表紙を汚したくなく、カバーを取ってみたらその下もおしゃれな装幀だった。隅々までクラフト・エヴィング商會を堪能できた。いいなぁ!吉田篤弘さん!
読了日:07月01日 著者:吉田 篤弘


お探し物は図書室までお探し物は図書室まで
いつも行く図書館には1月毎の特集があり、テーマを決めて100冊ほどの本が紹介されている。先月は「冒険」。その言葉から連想される様々なジャンルや形態の本が、素敵なレイアウトで展示されている。そのコーナーを見るのが楽しみで、いつも何冊か借りてしまう。控えめな司書さんの本に対する知識と愛情、何よりセンスのよさが感じられて嬉しい。そのせいか「神のお告げ」かと思うような小町さんに、違和感を感じてしまいあまり馴染めなかった。よい本には違いないのだが、期待が大きすぎたのだろう。小町さんが紹介した本はどれも興味深かった。
読了日:07月05日 著者:青山 美智子


花を呑む (光文社時代小説文庫)花を呑む (光文社時代小説文庫)
弥勒」シリーズ第7巻。事件の経緯もさることながら、3人の心情に目の行く第7巻だった。病の兄を思う清之介、奔走した嫁を気遣う伊佐治、身内への情愛が胸にせまる。それに引き換え冷淡でねじれた信次郎は、どうしてこんな人間に育ったのかと、あらためて思ってしまう。下の立場から諌める伊佐治の真っ当な言葉が心地よい。
読了日:07月08日 著者:あさの あつこ


電球交換士の憂鬱 (徳間文庫)電球交換士の憂鬱 (徳間文庫)
「不死身」と言われた十文字。死ぬことは怖いけれど「不死身」はもっと怖いのかもしれない。眠らないでずっと起きていなければならないようなもの。時間の流れもあってないようなものだ。実は不死身ではないのかもしれないとヤブ医師に言われ、メガネも作り視界がはっきりしてきた十文字。めでたし、めでたし。私もボヌールの常連になって一緒に祝杯を挙げたい。蛍光灯でなく、もちろんLEDでもない電球色の安らぎは、吉田篤弘のどの作品にも重なるように思えた。
読了日:07月15日 著者:吉田 篤弘


陰翳礼讃 (中公文庫)陰翳礼讃 (中公文庫)
谷崎潤一郎氏が昭和初期に書いた6編の短編集。まずは漢字が難しくそれらを調べながらで時間がかかったがそれもまた興味深かった。当時でさえ日本はアメリカと共に最も夜の明るい国だったらしい。今の街の明るさを見たらさぞ驚かれるだろう。しかし、近頃、電球色の柔らかい灯りが漏れる家々が増えたような気もする。押さえた明るさの心地よさに気づく人が増えてきたのかもしれない。「東京から大阪まで電車で12時間25分」「便所の匂いには鎮静作用があるのでは」に驚き、女性や老人の描写など日本人論に時代を感じ感慨深かった。
読了日:07月22日 著者:谷崎 潤一郎


【2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位】ザリガニの鳴くところザリガニの鳴くところ
6歳で家族から見捨てられ人々の差別や偏見の中、一人生き抜く少女カイア。彼女は孤独であるからこそ自然と密接に結びつき成長する。しかしカイアは、一変して殺人事件の容疑者となる。豊かな自然・地域全体の偏見・少女の強い精神力、そして数少ないが寛容な人々の温かい心、盛りだくさんな内容に惹きつけられる。息づまるような裁判のやり取りを終え、ホッとしたのもつかの間、思わぬ結末に。彼女の支えとなったテイトのこれからが気がかりだ。
読了日:07月26日 著者:ディーリア・オーエンズ


それでも世界は回っている 1 (文芸書)それでも世界は回っている 1 (文芸書)
「『美しい』という言葉をむやみに使うな。もっと奥深くて、もっと華やかで、もっと悲しくて、もっと麗しくて、もっと涙が出てきそうなそういうものじゃないのか。それをたった一言『美しい』で片付けていいのか」というウルフの言葉に納得。困った!「美しい」という言葉を使えなくなる。オリオと叔父さんを待っているのはなにか?ふたりは「6番目のブルー」に会えるのか?そしてなにより、「2」は出るのか!?
読了日:07月28日 著者:吉田篤弘


W3(ワンダースリー) (第1巻) (Sunday comics)W3(ワンダースリー) (第1巻)
♪とっても好きポッコ・プッコ・ノッコ星から来た仲間よ♪テーマソングをつい口づさんでしまう懐かしいアニメ。昭和43年に発刊されたこの漫画本を読んでいても、いまだにワクワク楽しくなる。「人の一生は嵐のようなもの。嵐の強いときは風に身を任せ、嵐の弱まったときに全力を出して進め!」馬場先生の教訓も深い。美人のポッコ、愉快なプッコ、気のいいノッコ。「鉄腕アトム」に並んで大好きな「W3」はいつまでも私のアイドルだ。
読了日:07月29日 著者:手塚 治虫


はじめての文学 宮部みゆきはじめての文学 宮部みゆき
これまで最も多くの作品を読んだ作家は宮部みゆき。初めて小説に触れる若者に、彼女が自身のどの作品を薦めるのか、それが知りたくてこの本を手にした。「人間という複雑な生き物への敬意と哀惜、共感と愛情、怒りと傷心・・」という前書きの中の言葉が、まさに宮部作品を的確に表しているようだ。多岐にわたる豊富なストーリー、熟練した文章、やはり宮部みゆきはいい。4作品全て既読だったが、「回向院の茂七親分」にまた会えたのも嬉しかった。
読了日:07月30日 著者:宮部 みゆき