コロナ禍で家にいる時間が多いので、とにかく読書時間が増えています。
今年は積読本回収に励むと決め、1月も2月も6冊読むことができました。
どうしてこんなに途中で投げ出した本があるのだろう?不思議。
何かに惹かれて手にしたはずなのに、「これはムリ!」の本も数冊。
今月も積読本の山を減らすまで、書店・ブックオフには足を運ばないことを
自分自身に誓います。図書館には行ってしまうけどね。(^^ゞ
図書館に追悼コーナーもあり、2月も安野光雅さんの本が続きました。
少しご無沙汰していた伊坂幸太郎さんを数冊読みましたがやはりいい!
おしゃれな会話、軽妙かつほの温かい展開にウットリしてしまいました。
月をまたいで朝井まかてさんの「落陽」を読んでいます。
改めて、明治・大正・昭和の切り替わりに注視してみたり。面白いです。
読んだ本の数:19
今度生まれたらの感想
まず、若い頃の夏江は嫌い。忖度は誰でもするが、相手のことやまわりの空気を思いやってのことが多い。結婚前の夏江は計算高い「ぶりッ子」。しかし、自分を重ね合わせて考える内容も多かった。夏江より少し年下の私は「70近いお年にしては・・」と誉められることがある。その前置きがまさに耳障り。今、社会のお役にたっている(と思っている)仕事を続けるか迷っている。「前向きばあさん」「終活ばあさん」もいいじゃないの!でも、仕事を辞めたら虚しいのかな?内館牧子さんの老人3部作、後味はいまひとつだが、考えるヒントにはなると思う。
読了日:02月02日 著者:内館 牧子
川の光の感想
以前、読売新聞に毎日掲載されていたが、その時は読まずにきてしまった。ハラハラする展開を読み、もし新聞で読んでいたら、どんなに翌日の配達を心待にしたことか!クマネズミのお父さん・タータ・チッチの3匹の物語を読むうちに、自分がクマネズミになったように、あるいは彼らが人間であるかのように感情移入してしまった。次々やってくる苦難にくじけないタータ。助けられた記憶から他者を助けようとするタータ。冒険を通じてよい子に成長した。友達のタミーは作者宅のゴールデンレトリバーだとか。我が家のゴールデンと重なって愛しかった。
読了日:02月05日 著者:松浦 寿輝
偶然の祝福 (角川文庫)の感想
あとがきの川上弘美さんの言葉を借りれば「読み手として未熟なせいか」理解しきれなかったようだ。小川洋子さんの私小説なのかと思ったりもしたが、心の繊細な揺れを丁寧に拾い集めた短編集という印象だった。表紙に同じように犬が描かれたエッセイ「とにかく散歩いたしましょう」を読んだときの共感や面白さを期待してしまったからいけなかったのだと思う。
読了日:02月06日 著者:小川 洋子
逆ソクラテスの感想
どれも胸のすくような短編であり、どこかリンクするのがまた嬉しかった。「僕はそうは思わない」とはっきり言えるか?先入観で人を判断しないか?謝るべき時には謝れるか?相手を叱り飛ばすのではなく、具体的な言葉で示せるのか?自分には難しそうなことを、登場する小学生たちは実に賢く柔らかく道を切り開いていく。もしかしたら小学生5、6年あたりが人としてのピークなのでは、とふと思ってしまう。いや、大人もがんばらねば!ラストは作者からの嬉しいプレゼントのようだった。「磯憲」先生、お元気で!
読了日:02月08日 著者:伊坂 幸太郎
小福歳時記 (集英社文庫)の感想
私とほぼ同い年の群さん、50代のときのエッセイ。老境に入りがんばってる感あふれる内館牧子さんや佐藤愛子さんの本を読むことがある。年齢による心身の衰えを感じ始めた群さんの日常生活は、それらとは異なりどこか緩くのんびりと過ぎていく。こんな気分で老いの入り口の門を叩くのも、悪くないのではないかと思う1冊だった。
読了日:02月10日 著者:群 ようこ
死神の精度の感想
死を予定されている人間に1週間接触し、その可否を判断する死神調査員千葉。死にまつわるのに暗さも重苦しさもなく、むしろ軽快に話が展開していく。当然のことながら人間離れした千葉の自由なキャラクターが魅力的である。「吹雪に死神」では海外のミステリーのようなワクワク感もあり、「死神対老女」では老女の卓越した人生観に頷かされた。「幸か不幸か、死ぬまでわからない」本当に。いつしか50年という年月を越え、ストーリーがリンクしているのも伊坂作品らしくとても面白かった。
読了日:02月13日 著者:伊坂 幸太郎
まるまるの毬の感想
親子孫3代で小さな菓子屋を営む治兵衛・お永・お君。治兵衛の出自が元で騒動に巻き込まれ、お君の縁談も破談になるが、やがて新作菓子の制作で立ち直っていく。ストーリーを追いながら、次々登場する美しい和菓子を頭に描いてしまう。お君の威勢のよい声に迎えられ、丹精こめた南星屋の和菓子を買いに行きたくなる。
読了日:02月15日 著者:西條 奈加
オー!ファーザーの感想
1人の母と4人の父と共に暮らす由紀夫。4人の父が皆魅力的だ。読んでいる途中からこの家の空気があまりにも心地よく、「4人父がいる」のが当たり前の状況のように錯覚してしまう。どちらか選ぶなら、我が子には「苛められっ子」より「苛めっ子」になってほしいという父たち。世界中の誰もが「苛められる側に立ちなさい」と我が子に言えたなら、陰鬱な問題はずいぶん解決できるという悟の意見は考えさせられた。こんな父たちを持った由紀夫はいいなぁ、というかこんな夫たちを持ったお母さんはスゴイ!
読了日:02月18日 著者:伊坂 幸太郎
マザコン (集英社文庫)の感想
大人になってからの親子関係は難しい。私の母はたぶん愛情過多なのだろう。母の判断基準で私を守ろうとすることが多かった。結婚直後「お母さんの言いなりだね」という夫の言葉に気づかされた。際立った対立こそしないが、母の意に反しても自分で行動できるようになったと思う。結婚した息子たちの家庭には寄らず触らず適度な距離を保っているつもりだ。感想とは言えない感想だが・・。
読了日:02月19日 著者:角田 光代
間宮兄弟の感想
30代独身で共に暮らす仲良し兄弟。結婚はもちろん恋愛経験0の2人だが、仕事もきちんとこなし、繭のように住み心地のよい家で趣味も楽しんでいる。「ダサい」と言われるかもしれないが、むしろ好感が持てる。いるのではないかなこういう人。小説は極端だが、今はむしろこういう人が増えているのではないかと思う。恋愛も結婚もふとしたきっかけとタイミングと出来心かもしれない。そんな日が2人にも来てほしいような、このままの暮らしがいいような・・・。
読了日:02月21日 著者:江國 香織
壺の中 (美しい数学 (4))の感想
安野さんの美しい絵を楽しみながら、2つの国の3つの山の4つの城の5つの町の6件の家の7つの部屋・・までは計算していたのだか、その後はもう降参!階乗、確か高校の数学でやったような。確かにビックリ(!)する話だったが、おもしろかった。
読了日:02月21日 著者:安野 雅一郎
蚤の市の感想
新品のキラキラした商品が並ぶデパートより、この蚤の市はなんと魅力的なんだろう!絵の中に入って買い物をしたい。ひやかして回るだけでも楽しそう。和風の品々の中の長火鉢が懐かしい。ほうれん草の缶詰の前にポパイとオリーブがいる!マネの「笛を吹く少年」がいる!ターザンもアラジンもカーミットもいる!始めと最後に登場する犬連れの夫婦が見つからなかったのが残念だがとても楽しかった。
読了日:02月21日 著者:安野 光雅
野良犬トビーの愛すべき転生 (新潮文庫)の感想
犬の視点での文章は、犬の細かいしぐさやものの見え方など、確かにこんな感じかもしれないと思わせた。悲しい別れをしてきた愛犬たちと再び会えたらどんなに嬉しいだろう。ベイリーやエリーが息を引き取る度に、今、隣にいるゴールデンとのいつか来る別れのことを思い切なくなった。惜しむべきは訳が直訳でとてもわかりにくかったこと。「・・じゃ」と話す老人にはこれまで一度もお目にかかったことがない。訳に閉口して何度も積読本になってしまったが、なんとか読み終えることができほっとしている。訳は大切だ。
読了日:02月22日 著者:W.ブルース キャメロン
文学の絵本―「ちくま日本文学全集」の装画の感想
「ちくま日本文学全集」の装画集。森鴎外から寺山修司まで、60人の文豪の作品の装画が生年順に並べてある。それぞれの作品の一節が見開きに書かれているのも、巻末にその絵を描いたときの安野さんの思いが記されているのもおもしろかった。まったく違った趣の絵はどれも魅力的で、この全集を買って飾っておきたいようだ。カバーと扉が立体的に見えるようになっているのにも、安野さんの遊び心が感じられた。
読了日:02月23日 著者:安野 光雅
にほんご (福音館の単行本)の感想
谷川俊太郎さんや安野光雅さんが40年も前に作った本。文部省学習指導要領にとらわれない、小学校一年生の国語教科書を想定している。子供のためというより「教師の心と体に」影響を与えることを願っていたようだ。文字・挨拶・しりとり・早口言葉・数え歌・回文・方言など、これを読んだ大人が、おもしろがって子供に伝えられたらなんと素敵なことだろう。私の小学一年生のときの先生は、黒板いっぱいにきれいな絵を描いて色々なお話をしてくれたことを今も覚えている。
読了日:02月24日 著者:谷川俊太郎・安野光雅他
あけるなの感想
「あけるな」と言われると開けてみたくなるのは大人も子供もいっしょ。ワクワクしながらページをめくり、たどりついたのは・・。とっても不思議でちょっぴり怖いお話だった。
読了日:02月25日 著者:谷川 俊太郎・安野光雅
ぼくのたびの感想
擬人化された動物のホテルオーナーとそこを訪れる客たち。静かなホテルの日常がモノクロで、オーナーの夢の中の風景がカラーで描かれているが、どちらも柔らかく穏やかだ。中でも屋根裏のオーナーの自室が、狭いけれど天窓があり落ち着けそう。こんな部屋に住みたいようだ。壁には、宿泊した客たちからの葉書が飾られ、旅に憧れるオーナーの夢は広がる。未知の世界への憧れと、丁寧に暮らす日常と、どちらも大切にしたいものだ。
読了日:02月25日 著者:みやこし あきこ
志ん朝の落語〈4〉粗忽奇天烈 (ちくま文庫)の感想
音源に忠実な書き起こしで、枕から丁寧に記されている。粋で軽妙な志ん朝さんの姿が目の前に浮かび、声が聞こえてくる。粗忽奇天裂編。愛すべき粗忽者のオンパレードで、勘違いやら失敗やら迷惑やら。でも、いいんだ、いいんだ。笑いながらフ~ッと肩の力が抜けていく。志ん朝さん、聴きたいなぁ!
読了日:02月27日 著者:古今亭 志ん朝
つめたいよるにの感想
「デューク」で犬好きの心は締め付けられたが、読むうちに穏やかな気持ちで満たされた。どれも子供が主役のファンタジーだが、どの作品からも不思議な香りが漂い、心地よい夢を見ているようだった。児童文学だが、大人こそ、ひととき心を休めることができる本だと思う。
読了日:02月27日 著者:江國 香織