11月に手術後最初に読む本をそろえていました。
明るい優しい内容、術後体力も落ちていることも考慮して、
持ちやすい200ページ以下の本。
45年前に卒論のテーマにしたディケンズの『クリスマス・キャロル』
「そんなうまくいくはずない」と思いつつ読後の幸福感が心地よく、
次々読んでしまう妹尾まいこさんの『おしまいのデート』
新しい年、変わるライフスタイルに向けて背中を後押ししてくれるような本でした。
結局、退院してからでないと読めなかったけれど、
入院の荷物にこの3冊を潜ませた自分自身に、
「たいへんよくできました」の判を押してやりたいようでした。
読んだ本の数:6
本屋さんで探す「明日のカルタ」の感想
「つ」の項。「月日は百代の過客にして行きかふ年も又旅人也」ヨシタケシンスケさんの絵は荷を負ってひたすら歩む人々。よく見ると、背負った荷の上にあるのは「ツル」「ツクシ」「漬け物桶」「積み木」・・・ひとつわかりにくいものがと思ったら「ツチノコ」!すべて「つ」で始まる!明日を明るくする名文もさることながら、この遊び心がたまらない!
読了日:12月02日 著者:倉本 美津留
鴨川ホルモー (角川文庫)の感想
自分が大学に入った時のことを思い出した。どっさり受け取ったサークルの勧誘チラシ。入ったサークルでは受験から解放された影響か、あちこちで恋の花が咲く。しかし、思う相手には思われず、思わぬ相手から思われて、そこでも恋のサークル(円)できてしまって。なんだかこの本と似ていなくもない。物語はまぁまぁだが、映像だと面白かったかもしれない。身長20cmのオニも見てみたいし、機会があったら映画を見てみようかと思う。
読了日:12月06日 著者:万城目 学
クリスマス・キャロル (新潮文庫)の感想
40年以上前に、卒論のテーマとして原書で読んで以来の再読。陰鬱としたロンドンの街の描写、相反する人々のクリスマスへの高揚感、村岡花子さんの訳はそれらを見事に目の前に浮かび上がらせてくれた。この時期今の状況で、この本を手にしたことがうれしい。心の中に、ボッと温かなともしびを灯された思いがした。Merry Christmas!
読了日:12月22日 著者:ディケンズ
水晶萬年筆 (中公文庫)の感想
6編の最後「ルパンの片眼鏡」に千住のお化け煙突が登場したときは嬉しかった。見る位置により数が変わる、1963年に撤去された煙突。ワクワクしながら車窓から眺めた幼い記憶がよみがえった。とらえどころのない独特な空気感を持つ吉田篤弘さんの作品は、いつもながら心地よい。「ティファニーまで」に多く見られるような、言葉にこだわるセンスもたまらない。胸が「低鳴り」思わず「ニヤついて」しまう。
読了日:12月24日 著者:吉田 篤弘
おしまいのデート (集英社文庫)の感想
恋人同士ではない「デート」をテーマにした短編集。「ランクアップ丼」がよかった。食は生きることの根元。まずは温かいおいしいものでお腹を満たす。それがやがては心を満たす。「上じい」のさりげない言葉が優しい。
読了日:12月24日 著者:瀬尾 まいこ
御松茸騒動 (徳間時代小説文庫)の感想
頭でっかちで出世欲の強い19才の尾張藩士小四郎の成長物語。地味な物語だが、地に足のついた男に成長していくのがわかる。大殿徳川宗春が興味深く、調べてみると人間らしくおおらかな人物象に惹かれる。朝井まかてさんの手で描かれた宗春の物語が読んでみたい。
読了日:12月29日 著者:朝井 まかて